戦力外の順番は「練習を見れば分かる」 プロ21年の森野氏が語る“短命”の共通点
短命な選手に共通する“逃げ”の姿勢「ひとつの事をやってられない」
頂点を目指して共に戦う同僚は、限られた枠を争うライバルでもある。チーム内には“序列”があり、その底辺にいる選手たちが戦力外になる。「仮にプロ生活が10年あるとしたら、最初の3年でどこまで基本の土台ができたかで決まる。その後の4~6年目である程度勝負できないと早く終わる」。経験則からそう語る森野氏は、わずか数年でプロ人生の岐路に立たされる選手を「日々の練習を見ていたら分かる」と言い切る。
「ひとつの事をやってられない。何かすぐに変えてみようとする。探究心があるという見方もできるかもしれないけど、何かを極めようとはならない」
壁にぶつかると、まず目先を変えてみる。懸命な試行錯誤にも見える一方で、安易な“逃げ”につながるという。「長くやれるのは、基本があるから。吉見(一起)や大島(洋平)だってそう」。35歳を迎えた今でも衰えを感じさせない竜の安打製造機や、今季限りで引退した黄金期のエースを引き合いに、“長生き”の秘訣を説く。
著書で語っている通り、森野氏自身がユーティリティプレーヤーとして重宝されたのも、選手としての素地が築かれていたからこそ。あえて口にする厳しい言葉は、プロ人生の瀬戸際にいる選手たちの尻を叩くエールでもある。
○「使いこなされる力。名将たちが頼りにした、“使い勝手”の真髄とは。」
10月30日に講談社から出版された森野将彦氏初の著書。星野仙一氏、落合博満氏ら6代の監督を通じてレギュラーであり続けた“使い勝手の良さ”とは――。21年間のプロ人生で培った哲学には、ビジネスにおいても役立つ言葉が散りばめられている。
(小西亮 / Ryo Konishi)