大学生に転身した元ロッテ右腕が語る戦力外通告の現実 「マイナスばかりではない」
元ロッテ・島孝明さんの連載第5回、現役時代は「ボールを握るのも苦しかった」も…
今年も気づけば11月となり、肌寒く感じる季節へと変化してきました。プロ野球もレギュラーシーズンを終え、残すは日本シリーズのみ。そうした話題の裏では、戦力外通告を受ける選手がいることも事実で、そうしたニュースを耳にするたび、寂しい思いを感じるファンも少なくはないと思います。連載『島孝明のセカンドキャリアーBrand New Daysー』第5回は、そんな戦力外通告がマイナスな性格だけを持っているわけではないことを、お伝えできればと思います。
多くのプロ野球選手にとって、戦力外通告を受けることは選手生活を続けていく上で避けたい出来事の一つであることは間違いありません。球団から必要とされ入団したにもかかわらず、ある日突然別れを告げられるわけですから、選手によっては相当なダメージを受ける人もいるでしょう。現役続行か、それとも一般企業などへ就職か。人生の分岐点が突如として目の前に現れ、頭を悩ませる日々が訪れます。
しかし、戦力外通告をきっかけに野球に見切りをつけ、心新たに第二の人生を歩み始める人も中には存在します。個々の詳しい事情は計りかねますが、モチベーションの低下や自身の能力の限界を感じていたりなど、見切りをつける何かが本人の中であり、野球以外のことを始めたいと考えることが、シーズンの間にあったのではないでしょうか。
私もそのうちの1人であり、1年目では環境に適応しようとすることに精一杯で、寮からほとんど出ずに引きこもるように日々を送っていました。人に頼ることがあまり上手くなかった当時は、何でも1人で抱え込むようになり、そうした利己主義的な思考はますます自分を苦しくする一方でした。
3年目の後半からは思うようなプレーが出来ない日々が続き、野球そのものに対する意欲が薄れていくことを感じながらも、そういった自分を変える術は見つけられず、次第にボールを握ることさえも苦しいと思うようになっていきました。
そうした状況の中で日々を過ごしていくうちに、ふと自分の将来について考えることが度々ありました。これまで流れに身を任すような生き方しかしてこなかったため、ほとんどが漠然とした妄想のようなものでしたが、少なくとも来年も野球を続けることはどうしても考えることが出来ませんでした。それは単純に野球が嫌いになったからではなく、プロとして在り続けることの厳しさや、競技そのものを継続することに心のどこかで限界を感じ取っていたからではないかと思います。