オリ6位・日本生命の阿部、勝ち越し許して初戦敗退「やり切った気持ちはない」

Honda鈴鹿戦に2番手で登板した日本生命・阿部翔太【写真:荒川祐史】
Honda鈴鹿戦に2番手で登板した日本生命・阿部翔太【写真:荒川祐史】

4回途中から2番手で登板、2回2/3を投げて4安打2失点で初戦で散る

 23日に東京ドームで行われた第91回都市対抗野球大会2日目の第1試合で、日本生命は4-5でHonda鈴鹿に敗れた。10月のドラフト会議でオリックスから6位指名を受けた阿部翔太投手は、4回途中から2番手で登板し、2回2/3を投げて4安打2失点だった。

 近畿最後の切符を手に、全国最多61回目の出場でドームに乗り込んだが、初戦で姿を消した。名門を率いる十河監督は「わかってはいるが、初戦は難しい。応援のないいつもと違う雰囲気の中でやる難しさも感じた」とうなだれた。

 苦しみながら辿り着いた聖地で、Honda鈴鹿の先発・井村が立ちはだかった。4、5回と得点圏まで走者を進めて井村のテンポを崩したが、後続が断たれ無得点に終わった。日本生命は先発の高橋拓が4回に3失点目を喫したところで阿部に継投。2死二、三塁で迎えた1番・松本桃に対し、フルカウントから147キロの直球で空振り三振を奪ってピンチを脱した。

 日本生命は7回に代打・早野の右翼線への適時二塁打などで一気に3点を奪って同点に。反撃ムードを作ったが、その裏に阿部が粘り切れなかった。先頭の9番・長に中前安打を許し走者を背負うと、1死二塁から連打を浴び2失点で勝ち越しを許した。6番・前田には浮いたスプリットを痛打され「得点圏に走者がいたので、ボール球からでもよかった」と悔やんだ。十河監督は「阿部の状態は悪くなかった。(阿部に)代えるのが一手遅かった。反省しています」と、ここまでチームを支えてきた右腕をかばった。

 打線は9回に1点を返し、さらに2死満塁の好機を作ったが、反撃も及ばず終戦。「まだ日本生命のユニホームを着て試合したかった」という阿部の懸命の祈りも届かなかった。

 成美大から2015年に日本生命に入社して6年目の阿部。入社した年にチームは夏秋連覇を果たしたが、自身は故障で登板がなかった。試合後、オンラインでの取材に応じた阿部は「日本一になりたかった。やり切った気持ちはない」と頂点への思いを改めて口にした。

 この試合を最後にプロに進む阿部に、チームメートは「集大成を見せよう」と声をかけた。この試合で敗戦投手になり「なんとか抑えたかった」と悔しがった阿部。次のステージでは「チームに信頼される投手になることが目標」と話し、飛躍を誓っていた。

(安藤かなみ / Kanami Ando)

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