アマの現場では「感覚的な指導が…」 元ロッテ右腕が投球動作解析を学ぶ理由

横行している感覚的指導、数値化で納得する野球を

 しかし、実際のアマチュアの指導現場においては、いまだに感覚的な指導が横行しているのが現状であると思います。例えばボールのキレやノビといった一見分かっていそうな、しかし具体的にどういった作用が働いてその現象が起きているのか、上手く言葉で説明することの出来ない人も少なくないでしょう。

 バイオメカニクスでは、そういった感覚的な表現に対して、客観的なデータを用いることで、言語化できるようにする役割も担っています。様々な事象に対して、具体的に言葉で説明できるような指導者が増えることで、野球に限らず多くのスポーツの競技力向上が見込めるでしょう。また選手も、自身のプレーや能力が可視化できるようになることで、課題や目指すべき理想像などが明確になり、納得感を持って練習に打ち込めるようになります。

 最近では、簡易的な計測装置も登場し始め、誰でも手軽にデータを収集することが可能になってきています。こうした機材は今後、多くの指導現場に広がっていくことが考えられると共に、これからの指導者には収集したデータを正しく生かすための知識が求められるでしょう。

 この先、もし私が選手の指導に携わる機会があれば、バイオメカニクス的な観点も取り入れながら、選手の効率的なパフォーマンス向上をサポートしていければと考えています。そのためにも、今学んでいる基礎をしっかりと理解し、自身の表現の幅を広げていけるようにしていきたいです。

(島孝明 / Takaaki Shima)

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