「デジタルネイティブ世代」の球児に感じる“弱さ” 北の名将が日誌を導入した訳

クラーク記念国際・佐々木啓司監督【写真:石川加奈子】
クラーク記念国際・佐々木啓司監督【写真:石川加奈子】

クラーク記念国際の佐々木啓司監督が語る指導論、第1回は「目標設定」

 部員数の減少、球数制限の導入など変革期を迎えている高校野球。平成から令和へと時代が移ろう中で、球児への指導も変わってきた。駒大岩見沢を率いて春8回、夏4回の甲子園出場に導き、現在率いるクラーク記念国際でも夏1回の経験を持つ佐々木啓司監督も、変化と向き合うひとり。“北の名将”が抱く指導論を計4回にわたって連載する。初回は「目標設定」の重要さを説く。

 選手25人全員が寮生活を送るクラーク記念国際では、毎朝の点呼時に日直が3つの項目を読み上げる。

1、日々の考え方―目的、目標を再度明確にし、自分自身で実行する強い意志を持つこと、また今実行しようとしていることを現実にする。

2、日直者は日誌に記載されている内容を確認し、担当日を実施すること。

3、使用した施設および物品は使用した本人が元の状態・位置に戻すこと。汚したり放置したままにしない。

 これらは、昨年7月7日の日誌に佐々木監督自身が書き込んだ言葉だ。その日朝、当時野球部の父母会長を務めていた越智一久さんが46歳の若さで急死した。

「亡くなったことを知らず、北北海道大会に向けて“頑張るぞ”と思って書いたもの。俺の戯言ではなく、越智の親父が俺に言わせたことだぞと子どもたちには言って聞かせている。親を亡くした人間は、言葉の重みや毎日の大切さが身に染みる」

 選手の想像力を刺激しながら、かけがえのない今日という日を情熱を持って真剣に過ごしてほしいという願いを込める。

「練習でできないことは、試合でできない、ということが分からない」

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