「バンテリンドーム」改称の背景は? コロナ禍で団結“オール東海”の象徴に
「痛いとくれば」でおなじみ…スポーツとは好相性でブランド力向上に
医薬品メーカーの「興和」とナゴヤドームは10日、中日が本拠地にしているナゴヤドームのネーミングライツ(命名権)を興和が5年間取得することで合意したと発表した。来年1月から名称が「バンテリンドーム ナゴヤ」に変更される。個性たっぷりの名前に、ネット上では早くも話題に。1997年の開場以来初めてとなる命名権導入の裏には、コロナ禍が生んだ“オール東海”の結束があったという。
「痛いとくれば」でおなじみのバンテリン。肩こりや腰痛に効く代名詞的な医薬品のひとつだ。同社には「キャベジン」や「キューピーコーワ」、「ケラチナミン」など長年愛されてきた商品もある中で、野球選手の強い味方にもなっているバンテリンの名が冠された。“痛みに強い”はスポーツとの相性も良く、ブランド力向上ににもつなげたい考えだという。実際SNS上でも「怪我人出なさそう」「強そう」「ケガしてもすぐ治りそう」との声が上がっていた。
命名権が導入されるのは、セ・リーグ6球団の本拠地では広島の「MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島」に続き2例目。パ・リーグでは日本ハムの札幌ドーム以外5球団の本拠地で実施されているが、ナゴヤドームは少し事情が違うという。
自動車メーカーの「マツダ」が広島市と球団との間で契約を締結した例のように、これまでのケースは自治体や自治体が筆頭株主を務める“公的”な団体が命名権を売却することが多かった。一方のナゴヤドームは、東海地方を中心とした大企業の数々が株主を務めており、ある関係者に言わせれば「中部財界に支えられてきた」存在だ。
そのため、これまでも具体的な命名権の話は上がってこず。一企業の商品名を冠することが実現したのは、株主を務める各企業の理解と、ナゴヤドームの努力の結晶とも言える。ドームの関係者も「スポンサーのバックアップのもと、これからも地域の皆様に親しまれるドームを作っていくことが最も大切」と言う。
コロナ禍の窮状を乗り越えようと東海地方が団結して来年に誕生する「バンテリンドーム ナゴヤ」。今季8年ぶりのAクラスで低迷脱却の兆しを見せるチームにとっても、大きな“援軍”になることは間違いないだろう。
(Full-Count編集部)