楽天・銀次が示す2021年の決意 東日本大震災から10年「ずっと思いながらやってきた」
父親としても「子どもたちにも何が起こったのかを伝えていきたい」
楽天の銀次内野手が13日、宮城県内で行っている自主トレ終了後、オンラインで報道陣の取材に応じた。東日本大震災から10年の節目の年となる今季。岩手県出身の銀次は「自分がしっかり試合に出て、戦って、かっこいい姿を見せて感動してもらいたい」と決意を新たにした。
「10年ですか……10年だからといって特別なことをするわけではない。僕はずっと(被災地のことを)思いながら練習や試合をやってきた。この先も引き続き、自分に何ができるかを常に考えながら、しっかり行動に移していきたい」
NHK朝ドラ「あまちゃん」のロケ地にもなった岩手県久慈市に生まれ、小学生の時に太平洋に面した普代村に転居。故郷の村は高さ15.5メートルの水門のお陰で壊滅的な被害を免れたが、周辺地域の被害の大きさに心を痛めて、銀次は震災後に様々な支援活動を行ってきた。
「まだまだ困っている方々がたくさんいるが、人間はどうしても忘れていってしまうし、震災の記憶も風化しかねない」と危機感を抱く。2男1女の父親として「子どもたちにも何が起こったのかを伝えていきたいですし、子どもたちには成長した時に(後世へ)伝えていってほしい」とも。プロ16年目を迎え、2月24日には33歳になる。楽天で震災時から現役を続けている数少ない選手としての責任も感じている。
過去にチームの選手会長、キャプテンを歴任しているとあって人望が厚く、今オフの自主トレにも島内、塩見、森原、足立の“チーム銀次”が集結。ベテランの背中を見つめている。リーグ優勝と日本一に輝いた2013年にはリーグ4位の打率.317、翌14年には2位の.327をマークしたが、昨季は88試合出場で規定打席に遠く及ばず。打率.236、0本塁打23打点に終わった。
スタメンも58試合にとどまり、ベンチを温める試合も多かっただけに「今年は規定打席に立ち、最低3割は打ちたい」と復活を目指す。「1試合1試合を大切に、全力で、楽しみなら戦って、見ている人たちに『頑張っているな』と少しでも感じてほしい」。銀次は節目の年に、レギュラー奪回を心に誓った。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)