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好投後にベンチ外…“事前察知”した戦力外 元中日右腕が通告前に下した決断と葛藤
戦力外となった選手の多くは、通告の兆候を感じるという。2020年限りで現役を引退した元中日投手の阿知羅拓馬氏も、そのひとり。もちろん1日でも長く生き残ろうともがいたが、引退となればすぐにセカンドキャリアに直面する。プロ人生の“最終盤”をどう過ごすべきか――。葛藤しながらも、素早く決断した。
柔道整復師の国家資格取得のため専門学校に進学
トライアウト受験は頭になかった。自らの中で、確固たる投球の感覚が戻ってこない。2014年からのプロ生活で24試合に登板し、1軍のレベルも分かっていた。周囲を見渡せば、若い投手たちが台頭している。
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「もう野球は無理だなと。仮にトライアウトで運良く拾ってもらっても、1、2年で終わったら意味がない。その時、自分は30歳。だったら20代のうちに、次に進むことが自分のためだと思いました」
当初は就職を考えていたが「せっかく7年やったんだから、野球の経験を生かしたい」と方針転換。現役時代にコンディショニングコーチやトレーナーから体の作りや仕組みについてよく聞いていたこともあり、柔道整復師の国家資格に興味がわいた。
東海、関西圏の専門学校から資料を取り寄せ、学校説明会にも参加。春から名古屋市内の学校に通う。進学に備え、年明けからは名古屋市内の焼き鳥店でアルバイトを開始。「少しでもお金をためておこうかと。楽しく働いてますよ」と笑う。
驚くほど、現役への未練はない。通算24試合登板、1勝4敗、防御率4.84でも「やり切ったと思えるので」。今はただ、3年間の学びの日々が待ち遠しい。「いろんなものを見て、いろんな人から聞いて、自分で判断していきたいです」。まだ28歳。マウンドを降り、新たな人生を歩んでいく。