「“柵越え○発”はいらない情報」キャンプで専門家は選手のどこを見ているのか?
投手を見るポイントは「投球フォームをトータル的に」
一方で「ブルペンで1日200球超」「キャンプ期間中合計3000球」といった形で報じられる投手陣はどうか。野口氏は「投手によっていろいろな調整法がありますが、調整プランはキャンプイン前にだいたい出来ている。報道にあおられて球数が変わるということはない」と言う。
調整具合は、球数や球速だけでは測れない。「僕が阪神でプレーしていた頃、能見(現オリックス投手兼コーチ)や久保田(現阪神2軍投手コーチ)は最低8~9割の力でバンバン投げて、数もキャンプ期間中3000球に達していました。一方、横浜で見た三浦(現DeNA監督)も、毎日ブルペンに入って100~150球を投げていましたが、全力投球の日があれば、7割程度の日もあった。強弱をつけているのが印象的でした」と個人差を強調する。
「若手が球数をたくさん投げてスタミナをつけるのは、すごくいい方法だと思う。やはり投げるスタミナをつけるには、数多く投げる以外にないと思います。一方、ベテランになれば自分が開幕で100%になる調整法を持っているので、球数を操作しながらになるでしょう」と語る。
野口氏がブルペンで着目するのはどこか。「球速や球威は、日によって変えている投手が多いのであまり見ません」とし「投球フォームをトータル的に見ます。しっかり踏み込めているか、バランスはどうか、スムーズに投げられているか…気持ちよく腕が振れている印象の投手は、その年活躍する傾向があります。首をかしげながら投げているようだと、評論家としても不安になります。それは首脳陣も同じでしょう」と言う。今年のキャンプで専門家のお眼鏡にかなう新助っ人、ルーキーは誰なのか、実に興味深い。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)