田中将大は「“格安品ハンティング”の犠牲者」 NY紙がヤ軍の決断を疑問視
NY紙「Newsday」がヤンキースとの交渉決裂の背景を分析
ヤンキースをFAとなり、古巣の楽天に戻った田中将大投手。メジャー右腕の帰還に日本球界は歓喜する一方、功労者を失った米国は喪失感を抱いている。地元のNY紙「Newsday」では、ヤンキースと交渉が決裂に終わった背景を指摘している。
30日の楽天入団会見で「正直な話をしますと、ヤンキースと再契約してまだプレーがしたいという思いがありました」と語った田中。ただ、新型コロナウイルス感染拡大によって各球団が打撃を受ける中、移籍市場も停滞。同紙では、田中がチームで抜群の人気と安定感を備えた選手であったと評価した上で「彼は今年の冬、ブライアン・キャッシュマンの“格安品ハンティング”の犠牲者になった」と一因を述べた。約2億1000万ドル(約219億8000万円)ほどとされる「ぜいたく税」の課税ラインとの兼ね合いもあったとみられる。
ブライアン・キャッシュマンGMは29日(日本時間30日)のオンライン会見で「1人分の価格で2人を獲得できれば、セオリー上は、多分、それがより良い戦略である」と強調。田中の代わりに、レンジャーズからFAとなっていたコーリー・クルーバー投手と、パイレーツの先発投手ジェイムソン・タイヨン投手を相次いで獲得した経緯に触れた。
その発言に対し、記事では「結果的にそう(キャッシュマンの指摘通りに)なる可能性もある。しかし、ヤンキースの故障者についてのこれまでの実績を考慮すると、昨シーズン併せて18球しか投げていない投手2人に賭けるのは、タナカの代わりを務める可能性があった選手たちよりもリスクがある。つまり、タナカと再契約することよりもリスクがあるということだ」と強調。獲得した2投手が故障明けであることを念頭に、球団の判断を疑問視した。
ヤンキースでは今オフ、FAとなっていたルメイヒューとの再契約が最優先事項だったが、それにも時間を要した。キャッシュマンGMは「(ルメイヒューとの再契約には)大金がかかる。パンデミックに直面する状況下で、1億ドル(約104億7000万円)やそれ以上の契約を即決するのは簡単なことではない。だから我々の交渉は長期に及んだ」と説明した。
記事では、1年前のオフにエースのコールと9年3億2400万ドル(約339億2000万円)を結んだ際は比較的早期の決着だったことを挙げ、今オフの停滞ぶりを指摘。ヤンキースの資金運用についての考え方の変化を挙げ「当然のことながら、その考え方(金銭面で慎重になること)をするのはヤンキースだけではない」とも。昨季の無観客開催の影響は大きく「とは言え、ヤンキースがそこまであからさまに(慎重な)姿勢を見せることは珍しい」とまとめた。
(Full-Count編集部)