最優秀中継ぎなのに“勝利の方程式”にこだわらない? 中日・祖父江の真意とは

中日・祖父江大輔【写真:小西亮】
中日・祖父江大輔【写真:小西亮】

勝ちパターンを担う投手としての自負は「全くないんですよね」

 昨季に最優秀中継ぎ投手のタイトルを初めて獲得した中日・祖父江大輔投手が、沖縄・読谷村での2軍キャンプで順調な調整を進めている。12日のシート打撃に登板予定だったが、天候不良で中止となり翌13日にお預け。タイトルホルダーとして迎えた今季、変わらず自らを客観視しながらフル回転できる土台を築いている。

 昨季はチーム最多の54試合に登板し、防御率1.79と抜群の安定感を披露。2勝0敗、28ホールド、3セーブの30ホールドポイントで、同僚の福敬登とヤクルトの清水昇との3人でタイトルを分け合った。プロ7年目にして称号を得たが、自身の意識も周囲の反応も「なんにも変わってないです!」と笑う。

 福と抑えのライデル・マルティネスとともに形成した「勝利の方程式」は、チームの8年ぶりAクラス入りに大きく貢献。チーム内の強い信頼感を得た。今季も同じ役目を担う自負は増しているのかと思いきや「そういう思いは全くないんですよね」と頭をかく。

 確かに、これまでも一貫して「任されたところで」と言ってきた。それは控えめなのでも、責任を負うのを避けているわけでもない。祖父江ならではの思考で、リリーバーという仕事を受け止めている証拠でもある。

「欲を出しちゃうとダメなんですよね。ただ単に、優勝できればいいなと。チームが優勝できるためのひとつのピースになれればと思ってやっています」

 勝ち試合も負け試合も、唯一の目標である優勝に向かう過程には変わりないからこそマウンドで懸命に腕を振る。その姿勢が余計な欲を排除し、純粋に与えられた仕事に没頭できる。裏を返せば、どんな仕事を任せられても役目を果たせるだけの準備を怠らないということでもある。

 この日は44球を投げ、変化球を微調整。「このキャンプは、毎日投げようと決めています」。連日ブルペンに足を踏み入れる姿に、慢心は微塵も見当たらない。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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