“戦力外覚悟”から掴んだ最速161キロ DeNA速球王に成り上がった国吉の探求心

DeNA・国吉佑樹【写真:小谷真弥】
DeNA・国吉佑樹【写真:小谷真弥】

2018年オフに「このままでは終わる」と覚悟、日本人3位タイ161キロをマークした

 160キロを超えるスピードボールを投げる剛速球投手が続々と生まれてきたプロ野球界。日本人3位タイの最速161キロの剛速球を持つDeNA・国吉佑樹投手は、2021年シーズンへ向けて何を思い、日々どのような取り組みをしているのか。2009年育成ドラフト1位で横浜入りしてプロ12年目、今年9月で30歳となる。さらなる進化を目指す剛腕に迫った。【取材・構成 / 小谷真弥】

◇ ◇ ◇

 ズドン、ズドン――。沖縄・宜野湾キャンプ。国吉は196センチの恵まれた体格から、いかにも重そうな球でブルペン捕手のミットを鳴らす。「今の成績で満足していることもないですし、常に年齢が上がれば上がるほど危機感は出てきています。新しい選手がどんどん入ってくるので、1年1年自分のパフォーマンスを出せないと立場がなくなると思っている。毎年キャリアハイを狙ってやっていきたいと思います」。さらなる高みへ意気込みを口にする。

 2019年4月6日。4年ぶりの勝利を挙げた巨人戦(横浜)の5回2死、ゲレーロに投じた5球目で最速161キロを記録した。当時は日本ハム・大谷翔平(現エンゼルス)の日本人最速165キロに次ぐ日本人スピード記録。「『今年はボールに力があるな』と手応えはあったんですけど、161キロが出るとは思ってもみなかった」。ハマの“速球王”となったが、危機感が強くあったと言う。

 前年2018年は1、2軍を行ったり来たり。13試合登板にとどまった。当時27歳シーズン。本来なら野球選手として脂の乗ってくる年齢だったが、2016年1登板、2017年4登板と結果を出せずにいた。同年オフに豪州キャンベラに渡って“野球留学”。闘志に火が付いた。

「このままでは後がない、と思って。『自分の持ち味はなんだ』と考えていくうちに、力のあるストレートが投げ込めないと投球にならないと感じてました。筋トレ自体はやっていたつもりだったんですけど、やり方とか方法を色々見たりして。1からやり直すぐらいの気持ちで取り組みました」

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