「リハビリの時間が一番大事」 ロッテ大隣2軍投手コーチが自身の経験から得た教訓
「リハビリの時間をどう過ごすかで、結果が出るまでの時間を縮められる」
指導者という立場となり、改めて感じるのは時代の変化だ。今年で37歳を迎える大隣コーチが中高生だった時代は、まだまだ昔ながらのスパルタ指導が色濃かった。だが、自分が受けた指導は今の若い選手たちに通用しない。「教え方や言われ方が全然違う。だんだん変わってきたなと思いますね」と続ける。
「僕らの時みたいに『はいはい』と返事をする感じではなくて、自分の意見をちゃんと返してくる子が多いですよね。それはいいことだけど、間違っていることは間違っていると、しっかり言ってあげないと。ただ、その加減が難しいところ。今はどう伝えるか、どういう言い方がいいのか、それが大事だし、1人ひとり違うのが事実。自分がやらせたい方向や型にはめようとは思いませんけど、『こういうのはどうだ?』と話した時に、選手が『こうやりたいんです』と言った場合、柔軟な対応をしてあげたいと思います。そうしないと、結局選手が迷うだけ。そこは話をしながら、近すぎず、時には厳しく言えるような形を作っていきたいと思います」
現役時代は泣かされ続けた怪我だが、その経験が今となっては指導者としての引き出しを増やしてくれた気がしている。野手に比べ、投手は故障が多い役割。怪我をした後、いかに這い上がれるかが、長くキャリアを続ける鍵でもある。
「僕はリハビリの時間が一番大事だと思うんですね。怪我をしたどうこうではなく、怪我をしてからリハビリの時間をどう過ごすかで、復帰してから結果が出るまでの時間を縮められると思っています。怪我をしたら落ち込むよりも、もう前を向くしかない。その時の状況をどう捉え、怪我の状況も考えながら、自分に何ができるのかを考える時間が大切。だから、キャンプ中も接する時間は短いんですけど、故障中の選手に話しかけにいったり、『この時間が大事やぞ』って伝えていました。本当に悔しい気持ちもあるだろうし、早く戻りたい焦りの気持ちもあるでしょう。そこを自分でコントロールしながら、今するべきことを考えられる選手になってもらいたいなと」
選手にとっては、コーチが発する経験に基づく言葉は心強いに違いない。「そう思ってもらえるとありがたいですけど」と言うと、少し照れくさそうに笑った。
3年後、5年後と長期にわたり優勝争いができるチーム作りを目指すロッテ。その屋台骨を支える投手を育てるべく、選手に寄り添いながら指導を続ける。
(佐藤直子 / Naoko Sato)