楽天・涌井に投手コーチも感心しきり なぜスライド登板せずにライブBPで調整した?

ライブBPに登板した楽天・涌井秀章【写真:宮脇広久】
ライブBPに登板した楽天・涌井秀章【写真:宮脇広久】

スライド不要「室内練習場で投げれば十分」と余裕たっぷりだった

 ベテランらしい臨機応変の対応力だ。今月26日に開幕投手を務めることが決まっている楽天・涌井秀章投手は12日、先発予定だったDeNAとのオープン戦(静岡)が雨の天気予報を受けて早々と中止決定。それでも降り出す前の午前中に、実戦形式の“ライブBP”に登板し、順調な仕上がりぶりをうかがわせた。

 打者6人(黒川、横尾、村林、和田、武藤、銀次)とインターバルを挟みながら3度ずつ対戦。のべ18打者に対し、ヒット性の当たりを3本許したが、6三振を奪い、球数は78球に及んだ。金森打撃コーチが球審役を務め、カウントを取ったが、走者は置かず、内野は雨対策のシートに覆われたまま。外野は球団スタッフと選手が交代で守った。

 小山伸一郎投手コーチは「普通は、こういう練習になると気持ちが乗らないものだが、ワク(涌井)はそういう所もしっかりしていて、いい出力で投げていた」と感心しきり。「当初5イニングで予定していた球数を投げることができたし、前回登板(6日の中日とのオープン戦)に比べると、制球がまとまっていて、真っすぐに力もあった」と評した。石井一久監督も「前回より球の力が1段階上がった。シーズンに近い状態まで持ってきてくれた」と目を細めた。

 もともと、この日と翌13日は雨予報。13日先発予定の田中将大投手は、雨で流れた場合、翌14日にスライドすることが決まっているが、涌井は対照的に首脳陣へ「スライドは必要ない。室内練習場で試合形式で投げさせてもらえれば十分」と申し入れていた。室内練習場にはマウンドがなく、平場からの投球になるが、本人は一向に構わない様子だったという。

 結果的に、降雨前にマウンドから打者へ向かって投げることができたのは収穫。この日のライブBPの形式、球数も涌井本人が決めたという。涌井が考えた、涌井による、涌井のための練習だったというわけだ。

 これで開幕までの実戦登坂の機会は、19日のヤクルトとのオープン戦(神宮)の1度のみとなったが、「7回100球をメドにゲームを作ること、ランナーを出しても2点目は与えないこと、四球に気をつけて投げたいと思います」と余裕たっぷり。西武、ロッテ時代を通じ過去9度開幕投手を務めた経験は伊達ではない。

 ドラフト1位ルーキー早川隆久投手は2月のキャンプ中に涌井から「自分も若い頃はウエートトレーニングの量が多かったが、年を取るに従って減らし、ランニングの量を増やしてきた。そういうシフトチェンジは大事だよ」とアドバイスされたと明かしている。確かに、試合前の練習を見る限り、涌井の走る量はチームで群を抜く。長距離のランニングだけでなく、50メートルほどのダッシュを繰り返したり、ジグザグ走を取り入れたりと多彩だ。若い頃はふっくらとした印象だったが、今はあごの線がシャープである。このランニング量が涌井の体を支えている。

 石井監督が注目度抜群の田中将を差し置いて開幕投手に指名したのは、昨季最多勝を獲得するなど結果を出したこともあるが、この調整力を信頼してのことなのだろう。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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