打席途中で代打、犠打の揺さぶり… 市和歌山が想定済みだった“鍛治舎野球”
犠打での揺さぶりにも「うちとしては楽というかアウトを1つくれる」
選抜高校野球4日目第1試合は市和歌山(和歌山)が9回に1点をもぎ取り県岐阜商(岐阜)にサヨナラ勝ちを収めた。打席途中で代打を送るなど揺さぶりをかけてきた“鍛治舎野球”にも半田真一監督は想定済みだった。
県岐阜商は6回、先頭の山本が2球で追い込まれると打席途中で代打・石原(結果は空振り三振)、さらに8回2死一、二塁の場面でも伊藤が初球を空振りすると、ブルペンで捕手を務めていた行方を代打で起用(結果は空振り三振)した。
大会ナンバーワン右腕を相手に仕掛けた執念の代打策を鍛治舎監督は試合後に「本当はやりたくなかったが、全く合ってなかった。これは打てないと。代打に送ったのは両方とも当たっている選手だった」と振り返った。
何をしてくるか分からない――。だが、半田監督はそれも想定済みだった。初戦が県岐阜商に決まり“鍛治舎野球”対策については「色々と仕掛けるイメージが頭にあるからそこにハマっていく。単純に考えればいい。何が起きても自分たちの野球をやるだけ」と冷静に分析。
この日も代打策、そしてデータにはあまり無かった送りバント(計5犠打)を多く使い得点圏に走者を進められる場面もあったが指揮官は「もう少しヒッティングでくるのかなと思った場面で送りバント。うちとしては楽というかアウトを1つくれるので後続をきっちり抑えれば大丈夫」と、相手の揺さぶりにも普段通りの野球を貫き勝利を手にした。
制球に苦しみながらも4安打完封の152キロ右腕・小園健太投手も「僕としては途中で代わってくれた方が初見なんでありがたかった。打ち気をそらす投球を心がけた」と、打席途中での代打にも動じず、むしろプラスに捉えていた。
次戦はサヨナラ勝ちで勢いに乗る明豊(大分)と対戦する。「バッティングをもう一度、きっちり作り上げていきたい。中盤ちょっとまっすぐに差される場面があった。しっかり修正して次に進み自分たちの野球をしていきたい」。どんな状況でもブレることのない“半田野球”で強豪を撃破していく。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)