パ・リーグで開幕直後に本塁打が“急増” 多い捕手登録の一発、要因はどこに?
延長戦がなく9回打ち切り制も本塁打の傾向に影響?
最後に、このような傾向が生まれている理由の一端を示す数字を。各選手が本塁打を放った投手の内訳は、先発からが23本、リリーフからが7本となっている。その一方で、先発投手相手に7回以降に記録された本塁打は開幕戦で頓宮が放った1本のみと、先発から放ったホームランのうち、ほぼすべてが6回までに記録された本塁打となっていた点も興味深いところだ。
こういった数字の要因となるのが、今季の試合は最長で9イニングまでという規定だ。最終回から逆算した投手起用がより行いやすくなったというだけでなく、先発投手から早めにリリーフ陣へとスイッチすることも、これまでよりも容易となっている。
すなわち、ベンチから一定以上の信頼を得ているリリーフ投手が登板する割合が、例年以上に高くなる公算が大きいということだ。そのため、先発投手が投げているうちに点を取るために、試合前に組み立てる相手投手攻略のプランがより重要さを増してくる。先発投手に対して、打順の上位・下位に関係なく強いスイングが目立つ点や、配球の読みに長けた捕手登録の選手に本塁打が多い点も、こういった要素から一定の説明がつけられる。
昨季は120試合の短縮シーズンということもあり、従来とはさまざまな面で異なる傾向を示したシーズンとなった。今季は試合数が143試合に戻ることが予定されているが、今回取り上げた本塁打数の増加をはじめ、昨季とはまた違ったかたちで、通常のシーズンとは違う傾向を示す1年となるかもしれない。
また、各チームが多くの本塁打を記録している中で日本ハムだけが6試合終了時点でチーム本塁打が0本(現在は2本)と、やや出遅れている点は気になるところ。昨季の89本塁打はリーグ最下位ではあったが、同4位タイのロッテとオリックスとの差はわずか1本。昨季31本塁打の中田も擁するだけに、ファイターズ打線にエンジンがかかってくれば、リーグ全体の本塁打数も、さらに増加する可能性はありそうだ。
開幕直後に巻き起こったホームランの急増は一過性のものとして終わるか、あるいはこのまま本塁打増加の傾向は続くのか。今季の傾向の変化を端的に示す「野球の華」に、今後も注目していく価値は大いにありそうだ。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)