ポスト秋山探しに終止符? 西武の“走る新山賊打線”に現れたリードオフマン

7回に二塁打を放った西武・若林楽人【写真:宮脇広久】
7回に二塁打を放った西武・若林楽人【写真:宮脇広久】

長打を打てて盗塁もできる1番打者に辻監督「振れるのが持ち味」

■西武 2ー1 日本ハム(15日・メットライフ)

 2年越しのポスト秋山探しに、ようやく終止符が打たれるかもしれない。西武のドラフト4位ルーキー・若林楽人外野手が14日、本拠地メットライフドームで行われた日本ハム戦に「1番・左翼」で出場し、二塁打2本を放つ活躍。規定打席数未満とはいえ、今季打率を3割ちょうど(30打数9安打)とした。

 若林は初回、日本ハムのドラフト1位ルーキー伊藤からライナーで一塁線を抜く二塁打。続く源田の犠打で三塁へ進み、森の右前適時打で先制のホームを踏んだ。若林にとって伊藤は、北海道・駒大苫小牧高の1年先輩。伊藤は進学した駒大を1年秋に中退し、苫小牧駒大に入学。若林は伊藤の中退後に駒大に進み、プロ入りでは同期となった縁ある存在。7回には2番手の左腕・堀からも、第1打席と同様に一塁線を抜く二塁打を放った。

 長打2本の新人に、辻発彦監督は「しっかり振れるのが持ち味だが、彼の仕事は塁に出て相手投手にプレッシャーをかけること」と強調する。若林は同僚の源田壮亮内野手と並ぶリーグトップの6盗塁。今季の西武打線は中軸の山川、栗山、外崎を故障で欠く中、リーグ断トツの21盗塁を量産し、昨季までの山賊打線とは一味違うスタイルを見せているが、それを牽引している1人が若林と言える。辻監督も「9番の金子(侑司=今季3盗塁)、1番の若林、2番の源田は誰が塁に出ても走れるからね」と目を細めている。

 西武は長年リードオフマンとして活躍した秋山翔吾外野手が、一昨年限りでMLBのレッズへ移籍。昨季はシーズンを通して秋山の穴を埋める1番打者が固まらず、リーグ3連覇を逃す要因にもなった。今季は開幕から11試合は、盗塁王2度の実績がある金子が務めたが、打率、出塁率が上がらず、9日のロッテ戦から若林が入るようになった。翌10日に自打球を右膝に当てて途中交代し、11日の試合も欠場して心配されたものの、13日の日本ハム戦から戦列に戻っている。

 駒大時代は50メートル5秒8の俊足に加え、通算7本塁打のうち4本を4年生の秋に放つなど、急速にパワーアップを果たした。プロでも7日の楽天戦で左翼席へ初本塁打を放っている。ホームランも打てて盗塁もできる、大型の1番打者に育ってほしいものだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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