元広島投手が指揮官を務める水戸啓明 準々決勝敗退も夏に向けて見えた“成長”
冬場の振り込みが成果をあげ11安打を放った
高校野球の茨城県春季大会は2日、J:COMスタジアム土浦で準々決勝が行われ、広島など活躍した紀藤真琴氏が監督を務める水戸啓明は4-5で水城に惜敗した。水城のプロ注目・樫村佳歩投手(3年)から9回に2点を奪って追い上げたが、一歩及ばなかった。
負けはしたものの、紀藤監督は選手を褒めた。新チームの初陣だった昨秋は地区2回戦で鉾田一にコールド負け。そこから県ベスト8進出まで成長した。「秋は全く試合になっていなかったから、まずは野球をしようと話してきました。ここまで来れたのは彼らの頑張り」と成長を感じていた。
紀藤監督は現役時代、広島などで通算78勝をあげ、楽天の投手コーチなども務めた。その後は、水戸市内で野球教室「紀藤塾」を開くなど、次世代の育成に尽力。2019年から水戸啓明の監督に就任した。
「もちろん教えることが違うので難しいですが、楽天(コーチ)のときも、ほったらかしにして良いのは田中(将大)と岩隈(久志)くらいでしたから。それに高校生は成長が大きいから、とても楽しいですね」と、育成にやりがいを感じている。
3年生は6人。昨夏は県独自大会で4強入りを果たしたが、当時ベンチ入りしたメンバーはいなかった。「試合経験が少ないから、試合勘というのがまだない。1から新たにチームを作りました」と、紀藤監督。冬場に振り込んだ結果、速球に対応することができるようになった。この日は、2回先頭の大垣遼弥捕手(2年)が外角高めの直球を捉えて右翼スタンドへ先制ソロ。9回にも、前の試合で150キロを計測したプロ注目の樫村から3本のヒットを打ち、2点を返した。
紀藤監督は「まだまだ課題はいっぱい」と言いつつも、手応えも感じる。「選手たちに自信が見えてきた。さらに成長してしっかり守れるチームを作っていけば、夏も戦うことできる」。元プロの監督が、チームのさらなる成長を促していく。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)