巨人坂本ら続発する“ヘッスラ負傷” 走塁の名手・高橋慶彦氏が指摘する原因は?

広島などで活躍した高橋慶彦氏【写真:編集部】
広島などで活躍した高橋慶彦氏【写真:編集部】

一塁には駆け抜けた方が速い? 高橋氏は「絶対にヘッドの方が速い」

 一塁へのヘッドスライディングについては「駆け抜けた方が速い」という説もあるが、高橋氏は自身の経験から「絶対にヘッドの方が速い」と断言する。ただし、それもスライディングのやり方次第で「怖がると、走っている最中に体が立ち、飛び込んだ時も体が浮いて時間を取られる。スピードを落とさずに飛び込めば、間違いなく駆け抜けるより速い」と説明する。盗塁を企図して二塁へと滑り込む際はなおさらで、「アウトかセーフかはコンマ何秒の勝負。野手のタッチが上から来るとすれば、スパイクの底の幅の分だけでも、ヘッドスライディングの方が時間を稼げる」と考える。

 高橋氏自身、現役時代の二盗の際は頭から滑り込むことが多かった。1995、96年にダイエー(現ソフトバンク)の打撃兼走塁コーチを務めた時には、村松有人外野手(現ソフトバンク外野守備走塁コーチ)にヘッドスライディングを伝授し、96年の盗塁王獲得(58盗塁)へ導いた。

「『ケガの危険性が高い』と反対する人もいたが、村松には『砂浜で旗を取り合う“ビーチフラッグス”では、みんな頭から行くだろ? その方が絶対に速いからだと思わないか?』と問いかけた。その結果、ヘッドスライディングは村松の代名詞になり、ケガはしなかった」と振り返る。たかがヘッドスライディング、されどヘッドスライディング。練習次第では武器にもなり、反対に大ケガにも繋がりかねない。現役の選手たちにも、レベルの高い技術を数多く見せてほしい。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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