小久保ヘッドに一任のはずが… 工藤監督が「2番・甲斐」を提案した意味

工藤監督と違い、小久保ヘッドは「泣くまで待とう」の“家康タイプ”?

 工藤公康監督は独特の“勝負勘”の持ち主だ。相手投手との相性や嫌がりそうなこと、選手の調子を鑑みた上でオーダーを臨機応変に組み替える。昨季は100通りを超えるオーダーが出来上がった。スタメンに抜擢した選手が活躍したり、オーダー変更がズバリ的中する試合を何度も目にしてきた。

 かたや、これまでの小久保ヘッドコーチの考え方は、開幕後しばらくは並びを大きく変えなかったように、オーダーの基本は“固定制”。言うならば、工藤監督は「鳴かぬなら鳴かせてみせよう」の“豊臣秀吉タイプ”、小久保ヘッドは「鳴かぬなら鳴くまで待とう」の“徳川家康タイプ”と言ったところか。

 どちらが理想的かとか優れているかと言う話ではない。オーダーの固定制、変動制は、どちらにもメリット、デメリットがあり、監督、コーチそれぞれに考え方があるもの。その両方のメリットだけを吸い上げることができるようになれば、それが最も形として良い物になるのではないだろうか。

 今回、ほぼ一任してきたオーダーに工藤監督が自身の意向を反映させたことは大きな“変化”に映る。野手のこと、打撃のことを良く知る小久保ヘッドコーチの考えに、投手視点から鋭い“勝負勘”を発揮する工藤監督のアイデアが絡んでいく。2021年型のソフトバンクの新たな戦いの形が見えたのではなかろうか。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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