ポイントカード貯めるためステーキ2キロの日々… 菊池雄星が語る西武平良の人間性

マリナーズ・菊池雄星(左)と西武・平良海馬【写真:AP、荒川祐史】
マリナーズ・菊池雄星(左)と西武・平良海馬【写真:AP、荒川祐史】

自主トレで見てきた平良の姿「誰よりも練習熱心で向上心の塊」

 マリナーズの菊池雄星投手が、前日に39試合連続無失点の日本新記録を達成した古巣の西武・平良海馬投手を祝福した。平良は1日のソフトバンク戦で1点リードの9回に登板。今季11セーブ目を挙げ、2006年に藤川球児が樹立した記録を15年ぶりに更新していた。

「平良、日本記録樹立、本当におめでとう。1年目(のオフ)から一緒に自主トレをしてきましたが、誰よりも練習熱心で向上心の塊。そして、ステーキ店のポイントカードを貯めるために、練習後に、2キロのサーロインを食べていたことを鮮明に覚えています。これからも天性のマイペースを活かし、怪我に気を付けて、打者を圧倒していってください」

 ちゃめっ気たっぷりなメッセージから2人の関係がにじみ出る。

 平良は、沖縄・八重山商から2017年のドラフト4位で西武に入団。岩手・花巻東から入団した菊池は、高校からプロ入りをした平良を気にかけていた。そして、平良がプロ2年目を迎えようとしていた2019年1月、石垣島での自主トレに誘った。組まれたメニューを5年目のシーズンになる高橋光成らと淡々とこなし、毎夜に行われた投球のメカニクスについての勉強会を熱心に聞き入る姿に感銘を受けた。

 自他共に認める「筋トレマニア」の菊池は、平良の体の強さに舌を巻いた。これまで「日本人には負けたことがなかった」と言う、バーベルを使い下半身を鍛えるスクワットとデッドリフトで、当時19歳だった平良に完敗する。「僕に火を付けてくれた」。闘争心はかき立てられ、その後、下半身のトレーニングで平良に1度も負けていない。しかし、上半身のトレーニングでは「歯が立ちません」と白旗を挙げた。

 2019年のオフ、アリゾナでのトレーニングを希望する平良を菊池は快く受け入れ、お互いに飛躍を目指して汗を流した。

 7月1日(日本時間2日)、ブルージェイズ戦に登板した菊池は、今季に完成させたバランスの取れたフォームから、平良の剛球に威力で負けない自己最速を更新する99マイル(約159キロ)のストレートを繰り出した。

 7回1失点の好投で手にした菊池雄星の今季6勝目は、心をかよわせた平良海馬への感謝の1勝でもある。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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