元巨人で東海大相模の次期監督候補 勝つために選手の“DNA”にまでこだわる指導論
1人1人全く違う肉体、フル活用できる動かし方、鍛え方を
高校野球の監督は6年目を迎えた。貫いている指導方針がある。「体の使い方や体の発達を大事にするのはぶれていない」。高校生は成長期。その成長に合わせたトレーニングが最高のパフォーマンスを引き出し、怪我の防止につながる。もっと言えば、身体は1人として同じ選手はいない。だからこそ、原監督は選手が自分の体の特徴を知る必要があると説く。
「人は骨の太さも長さも筋肉の付着部も柔軟性も全てが違う。同じ動きをしようとしても、人によって動きが違うのは当然。自分の体をフル活用できる動かし方や鍛え方がある」
その一環で昨年から導入したのが遺伝子検査だ。専門家の知人が協力してくれたもので、項目は筋肉の質や疲労の溜まりやすさなど多岐に渡る。個人情報なので原監督は結果を目にしていないが、その専門家とそれぞれの選手が内容を共有している。他にも肩や股関節の可動域を測るテストなどでも、体を“解剖”している。
DNA検査で、エースの鈴木豪太投手は瞬発力に必要な筋肉が優れているという結果が出た。そのため、ランニングメニューは瞬発力を高めるダッシュを増やした。体の使い方では、原監督から「体重移動」の重要性を指導され、右足の内転筋をしっかり使うことや、左の股関節を引くように回転するようアドバイスを受けた。
そうした成果もあり、球速はどんどん伸びている。身長173センチと決して大柄ではない鈴木。入学時に120キロを超えるのがやっとだったストレートは2年の夏で135キロに到達し、3年になる頃に初めて140キロを計測。現在は144キロまで上がり「軽く投げてもスピードやキレのあるボールを投げられるようになった。体の使い方でパフォーマンスが変わると実感している」と効果を口にする。