小園、林ら若手台頭も5位… 広島OB高橋慶彦氏が苦言「基本的な野球ができていない」
チーム打率は高いが得点が入らない“タイムリー欠乏症”の実態とは?
高橋氏は1970年代後半から80年代にかけて、名将・古葉竹識監督の下、1番打者として広島黄金期を支えた。機動力を駆使し、そつがなかった「古葉野球」の申し子と呼ばれただけに、カープの現状は歯がゆくてしかたがないようだ。
一例として、6月25日の中日戦(マツダ)では、3点ビハインドで迎えた同点で迎えた9回、2死一、二塁で小園が左前打を放ったが、二塁走者の松山が本塁に突入しタッチアウトとなり試合終了。ネクストバッターズサークルには、この日4番の林が控えていた。「あの場面は1点を取ったところで何の意味もない。120%セーフでない限り、回してはいけない。三塁コーチャーを含めて反省すべき」と指摘した。
攻撃のバリエーションも物足りない。前出の中日戦で、広島は同点の7回、先頭の代打・田中広が中前打で出塁し、続く菊池の送りバントで1死二塁としたが、野間が二直、小園は四球を選ぶも、林が中飛に倒れ無得点に終わった。
高橋氏は「手堅く1死二塁をつくり、後続の打者のタイムリーを待つだけでは確率が低い。今季のカープは“タイムリー欠乏症”といわれるけれど、場面によってもっとヒットエンドランなどを駆使し、無死一、三塁として外野フライでも点が入る状況をつくっていくべきだと思う」と言う。
「走者を進めるには、バント(セーフティバント、スクイズを含む)、右打ち(進塁打)、ヒットエンドラン、盗塁の4つがある。監督はこれを駆使して“虹色”にしていかないといけない。何をやってくるのかと、相手を疑心暗鬼にさせないといけない」とも。
実際、今季の広島は7月14日時点で、リーグトップタイのチーム打率.261をマークしているが、得点は5位の298(1試合平均3.63)。ヒットは出ても返せない状況が続いている。楽しみな若手は育っている。これがチーム成績に結びつくように、高橋氏は基本の徹底と機動力の活用を切に願っている。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)