チームは低迷もドラ1栗林ら若手投手が台頭 広島・佐々岡監督が守り抜いた“決め事”

広島・佐々岡真司監督【写真:荒川祐史】
広島・佐々岡真司監督【写真:荒川祐史】

栗林ら救援投手の連投は“原則2試合”で前半戦を戦った

 広島はシーズン前半戦を32勝42敗10分で終え、5位で折り返した。投打が噛み合わない状態が続き、苦しい戦いを強いられた中で、注目されたのが就任2年目となる佐々岡真司監督の采配だ。チームの立て直しを期待されながら、5年ぶりにシーズン負け越しとなった昨季から指揮官の采配に変化は見られるのか。

 球団では53年ぶりとなる投手出身の監督として、さらに2019年までの5年間は1、2軍で投手コーチを務めた経歴から、継投などの投手起用に注目が集まった。先発の代え時やリリーフの人選など、時には批判的な声も挙がる中、今季も象徴的な試合があった。

 7月9日、神宮球場でのヤクルト戦。先発した玉村昇悟が7回2失点の好投。8回に打線が勝ち越しに成功し、勝利投手の権利を得て降板した。8回は島内颯太郎がクリーンアップを三者凡退に抑え、1点リードで迎えた9回表。マウンドに送ったのは、それまで17セーブの栗林良吏ではなく、新型コロナ陽性の影響などの出遅れから復帰したばかりのフランスアだった。フランスアは先頭打者に四球を与えるなど、不安定な投球で逆転サヨナラ負けを喫した。

 栗林をなぜ起用しなかったか。絶対的守護神の温存を疑問視する声も挙がったが、この采配には明確な理由があった。栗林は前日まで2連投、2日で41球を投げていた。無失点記録も更新したルーキーは今季、開幕直後に試合のない月曜日を挟んで4試合連続で登板したことがあったが、それ以降、連投は2試合までという起用が堅持されている。

 栗林に限らず、この試合で8回に島内が登板したのも同様の理由だった。この時期にセットアッパーの役割を任されていたのはコルニエルだったが、この日は3連投を避けて起用が見送られた。チーム登板数3位の左腕・塹江敦哉も3連投は1度のみと、今季のリリーフ投手の起用には明確な決まり事がある。

 栗林は前半戦、チームで2番目の34試合に登板して失点は2試合のみ。敗戦投手となったのは一度だけだが、その割に18セーブと数字が伸びていない。佐々岡采配が批判される時の理由のひとつであるが、これも今季の特殊な事情がある。新型コロナウイルスの影響で延長戦がない今季は、9回同点の場面での登板が非常に多くなっており、結果的に勝敗もセーブも付かない試合が増えている。

 後半戦は残り61試合。CS圏内の3位ヤクルトとは11ゲーム差という状況で、果たして今後も引き分けに持ち込むための絶対的なクローザーの起用は必要なのか。リリーフ起用の決まり事も、選手の体調面だけでなく終盤戦の重要な時期を見据えてということもあるが、CS進出の可能性が消えた場合はどうなるのか。新人王争いということを考えれば、セーブ数は目に見える有効な数字にもなる。

 いずれにしても、ペナントレースの情勢次第ということになるが、状況に応じて佐々岡監督の起用法は変わっていくのか。後半戦の采配が注目される。

(Full-Count編集部)

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