松商学園を“丸裸”に 明徳義塾・馬淵監督がエースに「3回までゼロに」と厳命したワケ

先発した明徳義塾・代木大和【写真:共同通信社】
先発した明徳義塾・代木大和【写真:共同通信社】

「序盤に点を取れなかったら、ずるずるいくチームと聞いていた」

 高校球界の名将、明徳義塾・馬淵史郎監督の采配が冴え渡っている。25日に阪神甲子園球場で行われた第103回全国高校野球選手権3回戦では松商学園に2-0で勝ち、5年ぶり8強進出。エース代木大和投手(3年)にフォーム修正を指南した他、相手打線の傾向を把握した上で配球を指示して3安打完封勝利を導いた。

 県岐阜商との1回戦は6回途中、明桜との2回戦は5回途中でマウンドを降りた代木。この日の先発に際して馬淵監督はこう声を掛けたという。「とにかく3回までゼロに。できるなら6回までゼロで」。

 松商学園は長野大会6試合で計47点、チーム打率.406の強打が持ち味。ただ、馬淵監督にはもう一つの見立てがあった。「打撃のチームですが、序盤に点を取れなかったら、ずるずるいくチームとも聞いていた。だから代木には『3回までゼロに抑えろ』と送り出した」と説明する。

 配球では縦のカーブを使い、緩急差をつけた投球を指示した。「変化球に弱いという情報を聞いていた。逆に変化球を投げるのかなというところでストレートでいったりしたので(松商学園は)狙い球を絞れなかったのでは」と振り返った。

 今大会は1回戦で県岐阜商・鍛治舎巧監督との名将対決を制して歴代単独4位となる春夏甲子園通算52勝をマーク。明桜との2回戦では最速157キロ右腕・風間球打投手への対策に徹底して着手し、攻略に成功した。そしてこの試合に向けては代木にフォーム修正を指南。軸足の左足で一度しっかり立ってから投げるように修正したことで好投を導くなど、“馬淵マジック”はキレキレだ。

 準々決勝はともに優勝候補に挙げられる智弁学園と対戦する。この日は第1試合を勝った智弁学園・小坂将商監督と三塁ベンチで“鉢合わせ”。「(対戦のくじを)『引かないでくださいね』と言われましたが、ウチは試合前でそんな余裕はないので……。でも縁があるんでしょうね。どこかでは当たる相手。全力でぶつかりたいと思います」と力を込めた。今大会あと2つ勝って決勝進出を果たせば、甲子園通算勝利は大阪桐蔭・西谷浩一監督と並び歴代3位タイの56勝となる。まずは準々決勝、65歳の名将がどんなタクトを振るだろうか。

(Full-Count編集部)

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