大谷翔平を支える重さ6.9グラムの“秘密兵器” 最新鋭機器「パルス」の正体は?
肘に負担がかかりにくい投球フォームを知ることも可能
この数値を確認しながら練習することで自主トレからシーズンインや、けがからの復帰といった中・長期の計画を立てる際は、休みを入れながら段階的に強度を上げていくことができる。肘の強度を構築できたフェーズでは、それを落とさず維持できるように、体の仕上がりや状態に合わせて最適な投球トレーニング量をフィードバックしてくれる。
1球1球リリースの角度と肘への負荷が数字で分かるため、肘に負担がかかりにくい投球フォームを知ることができる。また、全ての投球のうち、強度の高い投球の割合も表示される。この数字を活かせば、翌日の練習はブルペンよりも強度の低い遠投を増やすなど、最適なトレーニングメニューを組むことが可能となる。自主トレからシーズンインや、けがからの復帰といった中・長期の計画を立てる際は、休みを入れながら段階的に強度を上げていく。
データを分析する八木さんが強調することがある。「投球フォームが悪いから肘に負担がかかってけがをするわけではなく、どんなフォームでも負担はかかる。疲労がたまっているのに、無理をした結果けがをすると考えられる。負荷のかかりにくいフォームを完成させても、肘に蓄積された負荷量を見なければけがをしてしまう」。けがを防ぐには疲労度を把握して、練習の量と質を考える必要があると説く。
大谷は今シーズン、登板間隔や球数を緻密に管理しながら二刀流で活躍している。その背景には球団や監督らの理解がある。けがの予防はスタートライン。パルスの目的は大谷のように高いパフォーマンスの維持にある。