混戦パ・リーグの本塁打王争いは? 柳田、杉本、マーティン、誰が獲っても初受賞
勝負どころの9月に入ってから最も調子を上げている選手は?
続けて、3選手が今季残している月別の各種成績についても見ていきたい。
柳田は7月に打率.368と絶好調で、五輪明けの8月も本塁打こそ1本だけだったものの、打率.313と好調を維持した。柳田とは対照的に、杉本は7月の月間本塁打が1本、月間打率.146と絶不調に陥っていた。しかし、8月は打率.367と再び状態を上向かせている。
マーティンも8月の試合出場は4試合にとどまったものの、その4試合で2本塁打を記録。9月は打率こそ.185と低いが、出塁率は.353とボールはよく見えている様子だ。中断期間直前は足の状態の影響からか指名打者での出場も多かったため、休養と治療を挟んだことがシーズン終盤に生きてくるかが見ものだ。
最後に、各選手が本塁打を記録した打球方向と、本塁打を放った球種を紹介していきたい。
左打者の柳田とマーティンはライト、右打者の杉本はレフトと、各選手ともに引っ張りで放った本塁打が最も多くなっていた。それ自体は当然の事象と言えるが、抜群のパワーと打撃技術の高さで知られる柳田は、逆方向にも9本塁打を放っている。しかし、センターへの本塁打はわずか1本と、意外にも極端に少なくなっている。
また、杉本は体格から来る豪快なバッティングのイメージも強い選手だが、センター方向に5本、逆方向に6本と、ある程度各方向に打ち分ける器用さも兼ね備えている。マーティンは引っ張りだけで20本ホームランを記録しており、今回取り上げた3人の中では最もプルヒッターの傾向が強い。
各選手が本塁打を記録した球種に目を向けると、3人はいずれも速球を10本以上本塁打にしている点が特徴的だ。パ・リーグの投手は速球勝負を挑んでくる傾向が強いこともあり、そのストレートに対して力負けせずにスタンドまで飛ばせるかどうかが、ホームランを量産するためのカギとなっているようだ。
また、柳田とマーティンは変化球の中ではスライダーを捉えることが最も多い。特にマーティンは4本中3本が左投手のスライダーを打ったものであり、セオリー通りの投球であっても甘く入れば本塁打にしてみせる、という点が、各種の数字にも示されている。