「クビになるかも…」現役中の不安解消へ 戦力外経験者が元プロを支援するワケ

元中日の友永翔太氏【写真:本人提供】
元中日の友永翔太氏【写真:本人提供】

経験や知識を多くの人に届けたい「それがプロ野球選手だった使命」

 そろそろ、覚悟を決める選手もいるかもしれない。10月からプロ野球の戦力外通告が始まる。突然ユニホームを脱がされ、現役続行か引退かを迫られる。後者を選んでも、野球漬けだった生活から新たな環境を見出すのは容易くない。「絶対に不安なんです。その思いを少しでもしなくていいように」。2年前に同じ境遇に直面した元中日の友永翔太氏は、“第2の人生”のあり方に考えを巡らせてきた。【小西亮】

 プロ野球界で一生食っていけるのは、ほんの一握り。日本野球機構(NPB)によると、2020年に戦力外・現役引退となった選手の平均年齢は28.1歳。平均在籍期間は7.7年だった。サラリーマンならこれから働き盛りという三十路を前にして、全く違う道を歩まなければいけない選手も少なくない。

 中日から2019年限りで戦力外通告を受けた友永氏も、当時まさに28歳だった。現役には区切りをつけ、起業家として独立。自身のアパレルブランドを立ち上げたり、個別指導の野球教室を開いたりしながら忙しく過ごしてきた。資金を貯めつつ、同時並行で模索してきたのが“戦力外選手の受け皿づくり”だった。

「プロ野球選手が終わった途端、これまでの道のりや培ってきた技術が生かされずになくなってしまうのが残念だと思っていました。子どもたちに伝えることで、野球界の発展につなげてほしいなと。それが、プロ野球選手だった使命でもあると思うんです」

 元プロの経験や知識を多くの人に届ける仕組みが必要だと痛感。「僕も含め、野球教室をする選手たちは多いですが、指導する相手はどうしてもツテでしか広がっていかないんですよね」。“教えたい人”と“教わりたい人”をマッチングできたら――。そんな思いから「一般社団法人 日本野球指導協会(NBC)」を設立した。

「元選手たちを身近に感じてもらえる機会にもなれば」40人ほどが参加

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