「電子物質化学科」と「機械工学科」 ドラフト待つ異色の国立大理系頭脳派右腕2人

静岡大・井手駿【写真提供:静岡大学】
静岡大・井手駿【写真提供:静岡大学】

井手駿は工学部の機械工学科で「材料力学」を研究する

 もう1人のドラフト候補、井手は石田と同じ工学部の「機械工学科」に進んでいる。建物などの材料に力が加わった時の強度や、どのくらい変形するかを解析する「材料力学」を研究している。「高校3年生で進路を考えた時に自分の夢がなかったので、夢がある分野の勉強をしたいと思いました。宇宙、航空系は、まだ解明されていないことがたくさんあるので興味がありました」。宇宙に関する研究をできる静岡大の工学部を選んだ。同じ授業を受ける同級生にはJAXA(宇宙航空研究開発機構)に就職する人もいるという。

 愛知の高蔵寺高時代、井手のストレートは最速133キロと平凡だった。しかし、学業同様に野球も研究熱心で、大学4年間で球速は15キロも速くなった。決め球にしているカットボールは大学で習得。他にも、カーブやチェンジアップなど、5種類の変化球を操る。

 日本球界を代表する投手のオリックス・山本由伸や、メジャーの剛腕、メッツのジェイコブ・デグロムの映像を解析。ボールに力を伝えるコツをつかんだ。182センチの身長を生かした投球フォームで球速がどんどん上がり「研究でも失敗した時に何が悪かったか原因を考える。それが野球にも生きたと思う」と成長を感じている。そして、「プロに入って一流の選手を見れば、まだ自分の伸びしろがあると思っている」と自信を口にした。

 静岡大の選手では、外野手の奥山皓太が2019年ドラフト会議で阪神の育成2位指名を受けたのが初めて。奥山は教育学部出身。石田と井手がドラフトで指名されれば、理系出身者で初となる。半導体や宇宙に関わる仕事を思い描いて大学に入った2人が、プロ野球選手になる日が来るかもしれない。

(間淳 / Jun Aida)

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