2つの夢を叶えた市立和歌山・小園&松川 ドラ1コンビは“恋人”から“ライバル”へ

市和歌山の小園健太(左)と松川虎生【写真:荒川祐史】
市和歌山の小園健太(左)と松川虎生【写真:荒川祐史】

小園「球種は内緒で(笑)」松川「真っすぐをバックスクリーンに!」

 今春、将来について2人に聞いたことがある。その際はそろって「プロでは違う球団で」と話していた。小園はDeNAが、松川はロッテが交渉権を獲得し別々の球団へ進むことになる。“思い通り”になったはずだが、いざバッテリーが解消と決まると「寂しいです」。2人で過ごした6年間が走馬灯のように蘇ってきたのだろう。少し照れくさそうに、別れを惜しんだ。

 もちろん、次のステージでライバルとして対戦できることに喜びも感じている。プロでの対戦について聞かれると松川は「(健太の)持ち味である真っ直ぐを待って負けないように打ちたいと思います。バックスクリーンに!」。小園は「戦うことになったらしっかりと勝ちたいです。球種は内緒で(笑)」とお互いに譲らない姿勢を示した。

 会見の合間にはこんな微笑ましいシーンも。ハンカチで汗を拭った小園が松川に顔を差し出した。ハンカチの糸くずだろうか。小園の顔についていたものを松川が取り除き、目を合わせて笑いあった。

 二人三脚で歩んできた6年間。2月からは違うユニホームに身を包みそれぞれの場所で新たなスタートを切る。「点を取られないことが1番いいピッチャーと思います」と小園は最優秀防御率のタイトルを、松川は「ホームラン王になりたい」と目標を掲げた。甲子園出場、プロ野球選手になるという2つの夢を一緒に叶えた。2人の帽子のツバには“最高のバッテリー”としたためられている。今度は「日本代表」という3つ目の夢を叶え、再び最高のバッテリーを見せてくれる日が今から楽しみだ。

(市川いずみ / Izumi Ichikawa)

市川いずみ(いちかわ・いずみ) 京都府出身のフリーアナウンサー、関西大学卒。山口朝日放送アナウンサー時代には高校野球の実況も担当し、最優秀新人賞を受賞。学生時代はソフトボールで全国大会出場の経歴を持つ。

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