ヤクルト6年ぶりV間近 球団OBが「CSを考えると1位が必要」と言う理由とは?

ヤクルト・奥川恭伸(左)と高橋奎二【写真:荒川祐史】
ヤクルト・奥川恭伸(左)と高橋奎二【写真:荒川祐史】

チームトップタイ9勝の奥川、上り調子の高橋ともに間隔が必要

 ヤクルトが6年ぶりのセ・リーグ優勝にマジック「2」まで近づいている。ペナントレースを制したいのはもちろんだが、CSまで視野を広げると、なおさら“1位通過”を果たさなければならない台所事情が浮かび上がる。現役時代にヤクルト、阪神など4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が分析した。

 最近ヤクルトの先発陣でピカイチの内容を示している投手といえば、高卒2年目で成長著しい奥川恭伸投手と、24歳左腕の高橋奎二投手だろう。野口氏は「順番はどちらでもいいけれど、CSの1戦目と2戦目の先発はこの2人がふさわしいと思います」と語る。

 25日現在、奥川は小川泰弘投手と並ぶチームトップタイの9勝(4敗)をマーク。内容も防御率3.35と安定している(小川は5敗、4.09)。一方、高橋は開幕2軍スタートとなったが、6月に昇格すると徐々に調子を上げ、3勝1敗、防御率2.49。20日には敵地で行われた阪神との直接対決に先発し、相手先発のガンケルと一歩も引かない投げ合いを演じた。結局試合は0-0の引き分けに終わったが、7回4安打8奪三振無失点の快投だった。

 ただ、奥川と高橋に共通するのは、比較的長い登板間隔が必要な点。20歳で成長途上の奥川は今季、開幕から一貫して中9日以上を空けて先発している。高橋も最近は、9月25日の中日戦から今月9日の阪神戦まで中13日、その後今月20日まで中10日のインターバルを置いた。野口氏も「高橋には過去に故障歴もあるだけに、やはり間隔を空けた方がいい投球をする確率が高いと思います」と見ている。

 このままレギュラーシーズンを制することができれば、CSはファイナルステージからの登場となり、問題はない。「1勝のアドバンテージに加え、奥川と高橋で3勝を計算できます。他の先発投手であと1勝すれば、日本シリーズに進出できるわけです」と野口氏はそろばんをはじく。

 ところが、万が一2位通過となり、奥川と高橋がファーストステージの第1、第2戦に先発すると、2人の2度目の先発はファイナルステージの最終盤。もしくは1度きりになる可能性もある。野口氏は「2人をファイナルステージまで温存する手もありますが、ファーストステージも油断できない戦いになるはずですから、悩むところです」と考える。

 就任2年目にして、決して無理をさせない起用でチームを優勝争いに押し上げてきた高津臣吾監督の手腕が、短期決戦で改めて問われることになりそうだ。

※13時38分、一部を加筆・修正しました。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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