日大三島を1年半で“戦う集団”に変えた名将 「上品すぎる」選手に植え付けた闘争心
練習試合で6戦全敗も「一方的な負けがなくなった。何とか粘りが出てきた」
日大三島(静岡1位)は10月31日、岡崎市民球場で行われた東海大会2回戦の津商(三重2位)を5-2で破りベスト4入りし、38年ぶりの選抜出場に向け王手をかけた。報徳学園を率いて春夏通算18度の甲子園出場を誇り昨年4月から就任した永田裕治監督はわずか1年半でチームを“戦う集団”に変化させた。
エース松永陽登(2年)が打っては2安打3打点、投げても10安打を浴びながらも粘りの投球で2失点完投。7回には代打・島田誠也(2年)がダメ押しの2点適時打を放ち快勝。永田監督は「土台を作る上で影響力はあると思う。新たな伝統を築いていければ」と東海大会“初勝利”を振り返った。
静岡大会を終え東海大会までの期間は、今夏の甲子園を制した智弁和歌山など強豪校と練習試合を行ったが6戦全敗。「1回ぐらい勝たせてほしかったが」と苦笑いを浮かべるも、あえて全国レベルのチームと試合を行い、ナインたちに足りない部分を実感させた。
就任当初は2桁失点の大敗なども多く、「上品すぎる」選手たちに頭を悩ませた。それでも根気強く指導を続け、グラウンドでは誰よりも声を出した。監督が背中で引っ張り、結果が出るにつれて選手たちも自信を深めていった。「一方的な負けがなくなった。ここ1年半は頻繁にあった、18-0とかね。もう報徳(監督時代)の負け分ぐらいは負けてる(笑)。でも、何とか粘りが出てきた」と、成長を実感している。
6日は享栄(愛知1位)を破った大垣日大(岐阜2位)と対戦する。報徳時代は毎年のように阪口慶三監督が率いた東邦と練習試合を行うなど交流もあっただけに「僕が駆け出しの時からお世話になった方。色々な面で勉強させて頂いた。生徒と共に体当たりしたい」と意気込んだ。
選抜の当確ラインは決勝進出が条件。「今まで上品すぎた。新しい根性野球をしたいと思います」。快進撃を続ける新生・日大三島が貪欲に勝利を目指していく。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)