大阪桐蔭の“スーパー1年生”前田悠伍 神宮初V王手も「力不足を感じた」理由とは?
大阪桐蔭・前田は7回2失点完投も1年生スラッガーへの被弾を悔やむ「意識しすぎた」
第52回明治神宮野球大会は23日、東京・神宮球場で高校の部の準決勝2試合が行われた。第2試合では大阪桐蔭が九州国際大付を9-2(7回コールド)で下し決勝進出。初優勝に王手をかけた。先発した1年生左腕・前田悠伍投手は完投するも公式戦初被弾。「力不足を感じた」と課題を口にした。
21日の敦賀気比戦では試合途中から6回を投げ10奪三振と華々しい全国デビューを飾った前田。この日は先発のマウンドを託された。第1試合では同じ1年生の佐々木麟太郎内野手(花巻東)と真鍋慧内野手(広陵)が本塁打を放っており、前田は九州国際大付の1年生4番打者・佐倉侠史朗内野手へ強い意識を持っていた。初対戦は2回にやってきた。
「打席に立ったら威圧感というか雰囲気があった。意識しすぎたというか同じ1年生で負けたくなかった」。力みは投球にも表れ、高めに浮いたボールを右翼席に運ばれた。先制アーチは前田にとって公式戦初被弾。1年生ライバルを「いいバッターだなと思いました」と称えながらも、どこか表情には悔しさも伺えた。その悔しさは残りの打席ですぐに晴らした。第2打席は見逃し三振、第3打席は空振り三振。2打席連続三振を奪い、跳ねるようにベンチへ戻った。
4回以降に許した安打はわずか1安打。「有友先生(部長)から“自分のペースで投げられていないぞ”と声をかけられて、そこから落ち着いて投げられました」。2年生たちも「点をとってやるから!」と声をかけ続け、1年生左腕を盛り立てた。6回には自らの中堅への適時三塁打もあり、一挙7得点。9-2の7回コールドで九州国際大付を下し、2003年以来の決勝進出を決めた。
前田は7回を投げ4安打2失点7奪三振。西谷浩一監督は「ゲームを作ってくれました。1年生なので今日打たれたのはいい勉強になったと思います」と評価した。しかし、負けず嫌いの背番号14は「直球をはられていたので変化球で交わすピッチングになってしまいました。力不足感じた試合なので、1から見つめ直してピッチングを作り直していこうと思います」と全く満足しなかった。25日に行われる決勝戦の相手は広陵。またもや1年生の4番打者・真鍋が待ち構えている。1年生に話題が集まる今秋の神宮大会。“No.1ルーキー”の称号を得るため、前田は決勝のマウンドに向かう。
(市川いずみ / Izumi Ichikawa)
市川いずみ(いちかわ・いずみ) 京都府出身のフリーアナウンサー、関西大学卒。山口朝日放送アナウンサー時代には高校野球の実況も担当し、最優秀新人賞を受賞。学生時代はソフトボールで全国大会出場の経歴を持つ。