藤浪、根尾&藤原もできなかった神宮大会V “スター不在”大阪桐蔭が成し遂げたワケ
甲子園春夏合わせて8度の優勝も神宮大会制覇は今回が初
第52回明治神宮野球大会が25日に神宮球場で行われ、高校の部・決勝戦で大阪桐蔭と広陵(広島)が激突。両チーム合わせて33安打18得点の乱打戦を制した大阪桐蔭が、初の栄冠を手に入れた。新チーム初の全国大会。ただ西谷浩一監督も主将の星子天真内野手(2年)も、歴代のチームと比べて「力は劣っていたと思う」と口を揃える。
甲子園春夏連覇を達成した2012年の藤浪晋太郎投手(阪神)、森友哉捕手(西武)、2018年の根尾昂内野手(中日)、藤原恭大外野手(ロッテ)のように、スター揃いだった大阪桐蔭とは違う。にもかかわらず、彼らが成し遂げられなかった神宮大会を制覇した要因は“総合力”だった。
「秋は力が不安定。その中で誰かがどこかをカバーして、修正しながら戦えたことが優勝につながったと思います」と西谷監督が語るように、主役を変えながら勝ち上がってきた。決勝では3番・松尾汐恩捕手(2年)が2本塁打含む4安打を放った。
松尾は高校入学後、遊撃から捕手に転向。西谷監督は「まだまだ発展途上のキャッチャー」と話すが、期待は高い。新チームで唯一、夏にスタメンで出場。甲子園での近江戦では本塁打も放っている。「個々の力はまだまだです」と新チームの“実力不足”を理解しているからこそ、「全員で泥臭く戦える」と口にする。この日も4回無死一、二塁から2番・谷口勇人外野手(2年)がバント失敗。それを帳消しするように、松尾が左翼席へ3ランを放った。
突出した技術はなくても、総合力で栄冠を勝ち取った大阪桐蔭。ただ、まだ新チームは始まったばかりだ。春に再び日本一を手にするために、冬を越えてさらに強くなった姿を見せる。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)