ロッテ井口監督が早くも宣言「2022年は『優勝争い』ではなく『優勝』にこだわる」
ロッテ井口監督のリアルな声を届ける月イチ連載・第10回
プロ野球2021シーズンは、史上稀に見る接戦となった日本シリーズでヤクルトがオリックスに4勝2敗で勝利し、20年ぶりの日本一に輝いた。全6戦のうち5試合が1点差ゲームで、第6戦は延長12回での決着。12球団の頂点に立ったヤクルトの選手の多くが涙を浮かべていた姿からも、日本一への道のりが容易いものではなかったことが窺い知れる。
リーグ優勝、そして日本シリーズ制覇の難しさを知る人物がここにもいる。ペナントレースとクライマックスシリーズ(CS)でオリックスに行く手を阻まれたロッテの井口資仁監督だ。今季は一時リーグ首位に立ったり、優勝マジックを点灯させたり。優勝に手が届くところまで近づきながらも掴みきれなかったシーズンを率直な言葉で振り返ってもらった。【取材・構成 / 佐藤直子】
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まずはじめに、皆さん、今シーズンも1年を通じて熱い応援をいただき、ありがとうございました。残念ながら、リーグ優勝、日本一には届きませんでしたが、選手はみんな「この1点を、つかみ取る。」というスローガンを胸に刻み、よく戦ってくれたと思います。同時に、まだまだやることはいっぱいあると改めて実感しています。
もちろん、昨シーズンよりもいい戦いができた手応えはあります。でも、やはり勝ち切れなかったのは事実。短期決戦のCSで敗れたのも、総力が足りなかったからです。そこをどうやって改善していくか。今シーズンに集まった様々なデータをアナリストに細かく解析してもらい、監督・コーチの肌感覚や反省も合わせながら、選手を含めたミーティングを秋季練習中に開催しました。
投手、野手それぞれについて振り返りたいと思います。
まず、投手陣の収穫は後半になって小島(和哉)が長いイニングを投げられるようになったこと。そして、(佐々木)朗希が先発として1軍でしっかり投げられるようになったことです。朗希は(来季以降)1年間ローテーションを守れるという自信がついたのではないでしょうか。CSでもエース級の投球をしてくれました。ここ一番で自分の力を出せるのはエースの条件。来季の期待度は高まります。
一方、課題は先発陣で貯金をほとんど作れなかったことですね。クオリティスタート(6回以上自責点3以下)の数を見ても、うちは65回でパ・リーグでは下から2番目。ハイクオリティスタート(7回以上自責点2以下)となると、さらに数を減らします。体力面も含め、エースを争えるような投手を複数育てていかないといけません。