パ・リーグが“国内初”試合映像NFT事業参入へ メルカリとタッグでファン層拡大
このサービスの背景は? 観客数激減も3倍になったインターネット視聴者数
この施策の背景にはコロナ禍のプロ野球の来場者減少も大きく関わっている。年間約1100万人から今年は無観客試合や入場制限があったため、約330万人に。しかし、試合映像や「パーソル パ・リーグTV」などのYouTubeの視聴者数は2019年から約3倍となった。パ・リーグ6球団が進出した米国の市場でも新たなファンを獲得している。
都内で記者会見に出席したPLMの根岸友喜CEOは「球場内ももちろん大事ですが、球場外でファンの皆様とのエンゲージメント(関わり、接点)を高められるか。これを機にどうやって新しいファンを増やすかが我々の課題」と新しい価値を提供していく狙いを明かした。
また、権利を持つ2012年以降の映像のコンテンツ化だけでなく、それ以前のレジェンド選手の映像コンテンツなども権利元と話し合いを進め、順次サービスを展開していきたいという意向も示した。ファン拡大には欠かせない子どもたちも親しめる金額設定なども検討していくという。
「プロ野球で言いますと、歴史的にコンビニエンスストアや駄菓子屋にプロ野球チップスという素晴らしい商品が並んでいたと思います。具体的な戦略はこれからになりますが、お子さんがお買い求めしやすい価格にすることも重要だと思っています」と新しい世代の野球ファンも視野に入れ、サービスを展開していく。
購入時のサイトでは、キューブ上のアイテムが動き、その中で試合映像を楽しんでもらう設計となっている。ECサイトで買い物をするような簡単な操作で、パ・リーグの名シーンをコレクションすることができる仕組み。試合映像以外ではDeNAや西武がすでにNFT事業を行っている。海外スポーツでも多く取り入れられ、ファン獲得につなげている。このような新サービスが、今後も日本の野球界で進んでいくことになるだろう。
(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)