戦力外ドキュメンタリーが“再起のきっかけ” 出演選手が感謝する番組の影響力
スカウト関係者が番組を見たことがきっかけで米マイナーリーグ入りも
ふとしたきっかけが、人生の転機になることがある。年末の風物詩となってきているTBS系の人気番組「プロ野球戦力外通告」も、選手のその後に影響を与えてきた。プライベートもさらけ出すだけに、出演に二の足を踏むケースも少なくない中、取材されて得る“財産”も確かにあるという。
番組では主に、戦力外になった直後からNPB復帰をかけたトライアウト受験までを追う。出演を決めた選手たちの動機は様々。「子どもにプロ野球選手だった証しを残したい。自分にとって財産になると言ってくれる人もいました」。2004年の第1回放送から10年以上番組に携わったディレクターの根本教彦さんは、担当した数々の選手を思い出す。
過去には、放送が新天地を導いた例も。2015年にロッテを戦力外となった中後悠平氏を取材した時だった。番組がスカウト関係者の目に留まったことがきっかけで、ダイヤモンドバックスとのマイナー契約につながった。メジャー昇格は果たせなかったが、中後氏は海の向こうで約3年プレー。2018年途中からはDeNAに入団。2019年限りで現役を引退し、球団職員に転身した。
「今もこうして(中後氏が)野球に携わっているという面では、良かったのかなと思います」。そう言いながら、根本さんは当時を思い返す。現役生活が4年間伸びたことへの一助になったうれしさを感じつつ、番組が人生を左右する責任の大きさも感じた。
2009年に担当した的場直樹氏(現ロッテコーチ)からは、取材者冥利に尽きる言葉をもらった。放送から4年後に、日本ハムの2軍バッテリーコーチに就任した時のこと。現役時代に縁のなかった球団からのオファーに、的場氏は驚いたという。「あの番組で俺のこと知ってもらえたから、呼ばれたんだと思う」。電話でくれた感謝の言葉を、根本さんは今でも忘れない。
様々な反響をもたらす番組は、今年で18回目を迎えた。28日午後11時から放送され、元楽天・牧田和久投手や元ソフトバンク・川原弘之投手、元阪神・高野圭佑投手に密着している。描かれる、三者三様のドラマ。さらに、“その先のドラマ”も、もしかするとあるかもしれない。
番組公式ツイッター:https://twitter.com/tbs_senryoku?s=21
番組公式サイト:https://www.tbs.co.jp/senryokugaitsuukoku/
(小西亮 / Ryo Konishi)