“ピザを運ぶネズミ”に「決定的に名誉を汚された」 ヤ軍と傘下球団の騒動が明らかに

ヤンキースの最高執行責任者(COO)ロン・トロスト氏【写真:Getty Images】
ヤンキースの最高執行責任者(COO)ロン・トロスト氏【写真:Getty Images】

2018年に傘下球団が名称を「ピザ・ラッツ」としたことにヤ軍は“恥”と激怒

 ヤンキースは2018年、当時傘下だったマイナー球団がチーム名を「スタッテンアイランド・ヤンキース」から一時的に「スタッテンアイランド・ピザ・ラッツ」に変更した際に球団のイメージを傷つけるとして反対していたことが明らかになった。「スタッテンアイランド・ヤンキース」は2020年シーズンを最後にマイナーリーグ再編の影響で解散したが、球団オーナーのノスタルジック・パートナーズは2020年12月、ヤンキースとMLB機構に対して州裁判所に契約不履行訴訟を起こした。今回明らかになった一連の“ピザ・ラッツ騒動”はこの度、裁判所が新たに公開した文書に示されていたという。地元紙「ニューヨーク・ポスト」が伝えている。

「ピザ・ラット」とはニューヨークの地下鉄駅でピザを運ぶネズミのことをいう。2015年に自分の体よりも大きなピザを運ぶネズミの動画がSNSで投稿されて話題になったことが発端だ。記事によると、スタッテンアイランド・ヤンキースはこれを一時的に球団名で使用したが、不快感を示していたのがヤンキース。2018年6月15日(日本時間16日)に送信されたメールの中で、ヤンキースの最高執行責任者(COO)であるロン・トロスト氏が、スタッテンアイランドの決断によってヤンキースが「決定的に名誉を汚された」と言及していた。

 トロスト氏はこのプロモーションが27度のワールドシリーズ制覇を誇る球団のイメージを「傷つける」と示唆していたそうだ。スタッテンアイランドの球団社長であるウィル・スミス氏に送ったメールには「2018年シーズンの限られた期間で使うだけとはいえ、ニューヨーク・ヤンキースからドラフトされ、将来のニューヨーク・ヤンキースの選手になるであろうスタッテンアイランド・ヤンキースの選手が、『ピザ・ラット』のユニホームと帽子を着用して公の場に晒されることになる。これはニューヨーク・ヤンキースのフランチャイズにとって恥であるだけでなく、(両者の契約内容に)逆らうものだ」と書かれていた。

 これに対してスミス氏はメールで反論。2018年に別の傘下球団「トレントン・サンダー」が名称を一時的にニュージャージー州の人気料理からとって「トレントン・ポーク・ロール」に一時的に変えたことがあったため、ヤンキースはこの「一時的なプロモーション」に合意していたと主張していた。この訴訟では、MLBがマイナーの再編を進める中で、スタッテンアイランドが球団を解散することになった責任は被告にあると主張。ヤンキースはスタッテンアイランドとの提携を更新しないことで「ピザ・ラッツ」への名称変更を阻止しようとしたと主張している。

「ポスト」紙は公式ツイッターに「ピザ・ラッツ」のユニホームを着た選手の写真を投稿。選手はピザを焼く時などに使用する木製の「ピザパドル」をバットに見立てて持ち、打席で構えている。スタッテンアイランドはまた、アストロズ傘下だったトライシティ、タイガース傘下だったノーウィッチ、ジャイアンツ傘下だったセーラムの親会社とともに、マイナーリーグを大幅に縮小し40球団を削減したことに関してMLB機構を提訴。4球団の訴訟内容は独占禁止を定めるシャーマン法に違反していることを指摘し、球団の削減はMLBの独占によって起こった不当行為であるとしている。

【実際の写真】「ピザ・ラッツ」のユニホームを着用する選手 ヤンキースは球団名に不快感を示していた

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