「スーパースターほど人格者が多い」 筒香嘉智が感じたメジャーの“リスペクト”精神

オンラインイベントに参加したパイレーツ・筒香嘉智
オンラインイベントに参加したパイレーツ・筒香嘉智

米球界では試合前の練習後、チーム全員でボール拾いが当たり前

 今年で渡米3年目を迎えるパイレーツの筒香嘉智内野手。昨年は1シーズンでレイズからドジャース、さらにパイレーツと3球団を渡り歩く“メジャー流”を経験するなど、野球人としての引き出しを増やしている。現在は新シーズンに向けて日本でトレーニング中だが、その合間を縫って参加したのが8日に開催されたオンラインイベントだ。

「野球界の未来を考えよう」というテーマが掲げられたイベントには、小中高生の指導者を中心とした約60人が参加。DeNA在籍時から、日本球界の将来を考えて様々な提言をする筒香は、小中高生を巡る野球事情の現状について聞き、少しずつではあるが着実に日本全国に広がりつつある変化の波を喜んだ。同時に、米球界で見る「スポーツマンシップ」や「リスペクト」についても触れている。

 イベントに出席した日本スポーツマンシップ協会の中村聡宏会長との会話の中で筒香は「ファインプレーした野手に対して打者がヘルメットを取ってリスペクトを示すのは良くある光景」として紹介。さらに、試合前の練習が終わった際にはベテラン、新人関係なく「必ずチーム全員で使ったボールを拾いに行きます。拾わなければ“bad teammate”とからかわれるくらいです」とも話す。

 その基盤となる光景に出会ったのは、昨季ドジャース傘下マイナーチームでプレーした時のことだ。

「ビックリしたのは、マイナーリーグで監督が毎日のように選手に対して他者をリスペクトすることの大切さを伝えていたことです」

 野球は1人ではできないチームスポーツ。さらには対戦相手がいなければ試合は成り立たない。試合をするにしても芝を整えるグラウンドキーパー、クラブハウスを整備するスタッフら、数多くの人々の協力がある。周りにいる1人1人に対する感謝の気持ち、リスペクトは決して軽んじられるものであってはならない。

 筒香は「日本にないわけではないけれど、アメリカは他者に対するリスペクトが強い国。しっかり自分の意見も言いながら、周りに対する気遣いができている」と話し、「スーパースターと呼ばれる選手ほど人格者が多いと思いました」とも明かしている。

 以前より「選手は指導者をリスペクトし、指導者も選手をリスペクトすべきだ」と訴えている筒香にとって、米球界で見た光景はまさに自身が思い描くものだったのだろう。自身が米球界で得た学びを日本で伝え広めることが、日本球界の未来をよりよいものにするために筒香ができる貢献の1つなのかもしれない。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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