「投手を無茶苦茶にする」球団からの脱却へ… 本拠地拡大は効果を生むのか?

オリオールズ本拠地のカムデンヤーズ【写真:Getty Images】
オリオールズ本拠地のカムデンヤーズ【写真:Getty Images】

オリオールズはカムデンヤーズの左翼フェンスを上げ、後ろに下げる

 本拠地カムデンヤーズの“拡大”が決まったオリオールズについて、米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」が「FA投手がボルティモアに移ってくるかもしれない」と報じた。投手から“嫌われる”球場を脱却できるのだろうか。

 昨季の258被本塁打、防御率5.84はいずれもワーストだったオリオールズは、2022年のシーズン前に、カムデンヤーズの左翼フェンスの高さを7フィート(約2.1メートル)→12フィート(約3.7メートル)に上げ、最大30フィート(約9.1メートル)後ろに下げる。

 マイク・エリアスGMや球団編成部門は、左翼への本塁打が減りチームも結果も良くなり、少しは他の球場と似た雰囲気を作れると考えているというが、エリアスGMは「それでもまだ非常に打者有利の球場のままではある。しかしこの改修によって環境条件がリーグの標準に近づくと期待している」とコメントした。

 また過去20年間で悲惨だったオリオールズのFAでの投手獲得の道も改善されるかもしれない。「この改修をするにあたって、それは間違いなく重要な要素の1つだ。今後の助けになると考えている。論より証拠で、これから数年間ここで試合をしてみないと分からない」と問題解決へのスタートとして期待している。

 スタットキャストの過去3年間のデータによると、カムデンヤーズよりも多く本塁打が生まれる傾向にあったのは、レッズの本拠地であるグレート・アメリカン・ボールパークのみ。同データによるパーク・ファクターでは、カムデンヤーズはロッキーズの本拠地クアーズ・フィールド、レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パーク、そしてグレートアメリカン・ボールパークに次いで4番目に打者有利な球場だった。

 被本塁打数が増えることに伴い四球が増えるケースも。2016年7月にマリナーズから獲得したウェイド・マイリー(現カブス)は2016、17年にオリオールズで43試合200イニングで32被本塁打を浴び、翌年には四球率がキャリア平均の倍になった。球団はその理由を「被弾することに参って、バットに当てられることを恐れるようになったからだ」と指摘した。

 同メディアがカムデンヤーズを「投手を無茶苦茶にしてしまう」と指摘したように、オリオールズがFAで投手を補強するためには多くの資金が必要となる。しかし資金力は乏しく、エース級の獲得は難しかった。それでも「改修したとしてもFA投手が来てくれるとは限らないが、少なくともわずかなチャンスを与えることはできる」と道が広がることを期待している。

【実際の違い】どれだけ変わる? 昨季と“拡大”する今季のカムデンヤーズの左中間

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