知的障害のある球児が慶応高野球部とオンライン交流「垣根があってはいけない」

特別支援学校に野球部設立の動き「夏の甲子園予選に出てみたい」

 夢プロジェクトからは愛知県立豊川特別支援学校・高等部2年の林龍之介くんが野球への取り組みを発表。小学生で野球と出会い、中学3年の時に甲子園球場で生観戦した高校野球に感動し、自分も甲子園を目指したいと思うようになった。だが、特別支援学校には野球部はなく、陸上部へ入部。昨年夢プロジェクトと出会い、初めて参加した合同練習では「大勢で野球をするのが本当に楽しかった」と目を輝かせる。

 だが、昨年9月に最大の応援者の1人でもあった長姉が急逝。「みんな違っていい。いろいろでいい。そう教えてくれた大事な存在」だった長姉との別れは「人生で一番悲しかった」と声を詰まらせる。葬儀の朝、長姉にしたためた手紙に書いた3つの約束の1つが「もっと野球を頑張って試合に出ること」。12月に参加した愛知・同朋高との合同練習で、その想いはさらに大きくなったという。

 三者面談で「野球部を作りたい」と訴えた林くんの熱意に担任の先生も動かされ、現在その夢を叶えるべく奔走してくれているという。また、同朋高の松尾良亮監督の計らいにより2月から週1回、同校の練習に参加することに。「夏の甲子園予選に出てみたい。1打席でも立てたら真剣勝負をしたい」と夢を語った。

 その後のQ&Aコーナーでは、夢プロジェクトのメンバーと慶応高野球部員が互いに質問を投げ掛け合いながら、それぞれの理解を深めていった。慶応高野球部員からは打撃のコツや制球力アップに向けた練習方法などを伝授。夢プロジェクトのメンバーは、それぞれが野球を思う熱い気持ちや野球との出会いなどを伝えた。

 慶応高野球部で主将を務める宮原慶太郎くんは、今回の合同練習会に向けて事前に予習するまで、甲子園に出てみたいと願う知的障害のある球児たちの存在を知らなかったという。だが、この日の交流を終え「甲子園を目指したい気持ちはみんな同じ。そこに垣根があってはいけないと思う。試合で1打席でも立ちたい、白球を追いたいという気持ちは誰もが持っていいもの。いろいろな人が野球を楽しめる環境を社会として作っていかなければいけないと思います」と力強く語った。

 3月6日には慶応高・日吉グラウンドで対面形式の合同練習が開催される予定。その時は試合形式での対戦も予定されている。夢プロジェクトの林くんは「自分で考え動いて、チームの一員として頑張りたい」と話し、同じく村田敦くんは「三振を取りたい」と意気込む。慶応高の久保田くんは「グラウンドでは真剣勝負を挑みたい」と待ちきれない様子。野球を通じて繋がった球児たちの縁が3月にはどんな展開を見せるのか、今から楽しみだ。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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