山本由伸の進化とは? 投手5冠と支配した2021年、成長続ける5年間にデータで迫る

以前はそこまで多く三振を奪うタイプではなかったが……

 続けて、山本が各シーズンで記録してきた各種の指標について見ていこう。

山本由伸投手 年度別指標(C)PLM
山本由伸投手 年度別指標(C)PLM

 2019年までは3年続けて奪三振率は7.00台と、そこまで多くの三振を奪う投手ではなかったといえる。しかし、2020年に初めて投球回を上回る奪三振数を記録し、奪三振率10.59という非常に優れた水準に到達。続く2021年も奪三振が投球回を上回っており、ここ2年間で投手としてのタイプも変化していたことがうかがえる。

 与四球率に目を向けると、プロ入り以来5年連続で2.80未満。制球面から大きく崩れたシーズンは皆無だったと言えよう。そんな中でも、シーズン防御率が1点台だった2019年と2021年は、他の年よりも与四球率が優秀な傾向にあった。特に2021年の与四球率は自身初の1点台に到達しており、山本の制球力はその圧倒的な投球の根幹を支えている。

 また、投手の制球力を示す指標の1つである「K/BB」は、一般的に3.50を上回れば優秀とされる。そんな中で、山本は先発再転向後の2019年以降は、3年続けてその水準をクリア。毎年その数字を向上させており、2021年には5.15という驚異的な領域にまで達している。

 被打率に関しても、1軍に定着した2018年以降は4年続けて.200台以下と優秀だ。直近2年間は被打率.180台と素晴らしい水準で、被安打を許すこと自体が稀だった。与四球も被安打も少ないことにより、1イニングごとに出した走者の数を示す「WHIP」は、3年続けて1未満という抜群の数字となっている。

 以上のように、ここ2年間、山本はランナーを背負うケース自体が少なくなっていることがわかる。それに加えて、唯一のウィークポイントであった奪三振率も改善され、守備に左右されることなく、独力でアウトを奪えるようにもなった。山本が年々安定感を増している理由は、抜群の数字が並ぶこれらの指標が雄弁に物語っている。

毎年ハイレベルな投球を見せるが、球種の割合は少しずつ変化

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