ドラフトのために“わざと負ける球団”は「スポーツの癌」 大物代理人が痛烈非難
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「負けるが勝ち」なドラフト指名権システムは競争を阻害?
労使間対立の続くメジャーリーグで、大物代理人のスコット・ボラス氏が吠えた。米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」によれば、ドラフトの上位指名権を得るために、わざと負けるかのようなシーズンを送る球団を「スポーツの癌」と激しく非難した。
現在、メジャーリーグのドラフトは完全ウェーバー制で行われ、シーズンの成績下位球団がより上位の指名権を得る仕組みとなっている。戦力の平準化を目指すためだが、ボラス氏はこの仕組みが「スポーツの癌」とでも呼ぶべき“競争しない”チームを生んでいると指摘する。
「私はメジャー球団にとってドラフトがどんな意味を持っているか、多くの人が理解していないと思っている」とするボラス氏は、記事の中で、各球団のGMがこんな話をしているのを聞いたことがあると明らかにしている。
「(シーズンとは)FA選手を売り払って、価値のあるドラフト指名権を出来る限り手に入れるために最下位を競うレースだ。それはファンに負けてもいいんだと明示する方法でもある。実のところ(負けることは)有益なんだよ」
実際、市場の小さな球団を中心に、早々とシーズンをあきらめて夏のトレード期限までに主力選手を放出、チーム再建を目指すケースは多い。それは勝利を追求するはずのリーグ戦にとって、健全なものではないと指摘する。
「コミッショナー事務局は悪いルールを推奨したんだ。競争を保証する条項を入れないといけない。負けることではなく、勝つことがドラフト指名権に繋がるような条項をね」
ボラス氏は大リーグ選手会の執行委員会に名前を連ねる8選手のうち、5選手の代理人を務めている。その上で記事内で、健全な競争が損なわれていることを選手たちは「このスポーツの癌」だと考えていると話している。今後も交渉が続く新たな労使協定で、画期的な策は生まれるのだろうか。
(Full-Count編集部)
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