崖っぷち男の覚醒、楽天・田中和が2戦3発でキャンプ“MVP” 定位置奪える強みとは

西川らの加入で競争激化も…他者との違いは“右打席”

 福岡・西南学院高、立大を経てドラフト3位で入団。2年目の2018年に打率.265、18本塁打、21盗塁をマークして新人王に輝き、将来を嘱望されたが、以後は低迷している。石井監督が就任した昨季も「7番・右翼」で開幕スタメンに名を連ねながら、61試合出場、打率.136、0本塁打3打点という寂しい数字に終わった。

 例年にも増して、今年の楽天外野陣のポジション争いは過酷だ。昨年のレギュラーである島内、辰己、岡島に加え、海外FA権を取得しながら日本ハムを自由契約となった西川、新外国人マルモレホス(コロナ禍で未入国)が入団。巧打の小郷、俊足の武藤も控えている。以上の7人、なんと全員が左打ちだ。

 田中和はスイッチヒッター。ここ2試合での3発は全て左打席で打ったものだが“右でも打てる”のが強みとなる。そういう意味では、この日の第4打席で右打席に立ち、左腕の及川に対し空振り三振に倒れたのは心残りだろう。過去のプロ5年間通算で、左打席では打率.233(665打数155安打)、右打席では.218(285打数62安打)。ただし、最近2年間は右打席の方が打率が良く、昨年は左で28打数ノーヒット、右では.258(31打数8安打)だった。

 実は楽天は、内野手に目を転じても左打者が圧倒的に多い。右打者が多い捕手陣でさえ、ドラフト2位ルーキーで左の強打者の安田(愛知大)が台頭している。この日のスタメンも、阪神先発の右腕・秋山に対し、両打ちの田中和を含めて野手全員が左打席に立った。現時点で右打者でレギュラーが確定的なのは、浅村ただ1人というありさまだ。田中和は左打者ほぼ一辺倒の打線に、彩りを添えることができるだろうか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY