“ロボット審判”導入で何が起こる? 試験運用した米独立L社長が語る変化と課題
投手の攻め方、捕手の構え方にも変化が
ただ、この実験に全ての選手が納得していたわけではなかった。「なぜ俺たちがこんなことをしないといけないのか」と問う選手は多く、リーグを離れる決断をした選手も少なからずいたという。選手からの不満は、今季からABSを取り止める要因の1つにもなった。
逆にシステムをうまく利用し、活路を見出す選手もいた。少しでもストライクゾーンをかすめていればストライクと判定されるため、よりギリギリを狙った投球ができる投手が有利となった。
捕手の構え方にも変化が。球審からの“見え方”を気にする必要がないため、大きな変化球でボールからストライクを狙うとき、ウエストするかのように大きく外して構え、投手にターゲットを分かりやすく見せる捕手も現れた。一方、際どいコースをストライクと判定してもらうための技術「フレーミング」はその価値を失うことになる。
“ロボット審判”には当然ながら“人間らしさ”はない。大差がついて勝負が明らかな試合を早く終わらせようと、審判がストライクゾーンを広くするようなことも起こらない。どんな試合展開でも判定は一定だ。
今後ABSの実験の場は3Aに移されることになるが、その結果次第では将来的にメジャーで導入される可能性もある。そうなれば、プレーする側も見る側も、新しい様式に慣れる必要が出てきそうだ。
(Full-Count編集部)