三振を減らすはずが… バッテリー間を31cm伸ばして生まれた“予想外の結果”
インプレーの増加を期待して投本間の距離を伸ばすも、逆に三振数が上昇
近年のメジャーリーグでは、三振数の増加とそれに伴うインプレーの減少が問題視されている。その状況の改善を狙って、米独立リーグでは昨年、投本間の距離を引き伸ばすという異例の実験が行われた。その結果は、逆に三振数が増えるという意外なものだった。実施したアトランティック・リーグのリック・ホワイト社長がその理由を明かしている。
MLBとパートナーシップを提携する同リーグは昨季、投手とホームの距離を従来の18.44メートルから18.75メートルへと変更した。ルール変更を伝えたMLB公式サイトの記事によると、投本間の距離が変更されるのは1893年以来128年ぶりのこと。投手の平均身長や平均球速が128年前から格段に伸び、三振数が年々増加しているため、コンタクト率を上げてインプレーの打球を増やそうという試みだった。
しかし、結果は想定とは正反対のものだった。「ピッチングニンジャ」の愛称で知られる投球分析家、ロブ・フリードマン氏のYouTubeチャンネルに出演したホワイト氏は「誰も起こるとは思っていなかった影響がありました。三振の増加に繋がったのです。願望とは反対の効果があったのです」と語った。
驚きの表情を見せたフリードマン氏は「距離が伸びたことで変化球がより曲がるようになったから?」とその理由を推測。ホワイト氏は「方向性は合っています」としながら、自身の分析結果を披露した。
ホワイト氏いわく、投本間の距離を伸ばしても、速球を投げる際には認識できるほどの差は生まれなかったが、変化球に関しては、狙い通りに変化させるためにかなりの苦労が伴ったという。その結果、これまで初球から変化球を投げる傾向があった投手も速球から入るようになり、初球のストライク率が上がった。これが三振率の上昇に繋がったという。
これにはフリードマン氏も「予想外でした。理論上いいように思えても、実際にやってみないと機能するかは分からない。まさに実験を行う理由ですね」と感心した様子だった。予想外の結果となった実験は今季から取り止められ、投本間は18.44メートルに戻ることが発表されている。
(Full-Count編集部)