“城島そっくり”鷹・甲斐が一発含む2安打 悩む弟子に師匠がかけた言葉とは?

ソフトバンク・甲斐拓也【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・甲斐拓也【写真:藤浦一都】

「目の前の1打席を求めすぎずに、シーズンの500打席でいい内容を掴み取れるように」

■ソフトバンク 5ー2 ロッテ(オープン戦・4日・PayPayドーム)

 4日に本拠地PayPayドームで行われたロッテとのオープン戦。この試合でソフトバンクの甲斐拓也捕手が一発を含む2安打を放った。キャンプ中から城島健司会長付き特別アドバイザーの徹底指導を受けて打撃改造に取り組んできた成果が少しずつ現れてきているようで「やりたいことが少しはできたかな」と振り返った。

 3回の第1打席でロッテ先発の本前が投じた外角高めの真っ直ぐを弾き返して、右翼ホームランテラス席へソロ本塁打。4回の第2打席は遊ゴロに倒れたものの、6回の第3打席では小野のスライダーを捉えて、三遊間を破る左前安打。ここまで実戦ではなかなか結果が出ていなかったものの、この日はマルチ安打の活躍だった。

 キャンプ初日から城島アドバイザーから付きっきりで打撃指導を受けてきた甲斐。「まずはシンプルに、というのがテーマ。シンプルに立ち、シンプルに球を呼び込む」という教えのもと、根本からバッティングを見直し、その結果、構えは城島アドバイザーの現役時代を彷彿させるものになった。ただ、「全てを変えている」が故に、当初は慣れない部分が多く、球の見え方など、さまざまなところに違和感があったのも事実だ。

 紅白戦、練習試合と快音が聞かれず、対外試合初安打が出たのは2日の中日戦だった。なかなか結果が出ない状況に甲斐自身も「なかなか結果出ずに、考えて、いろんな部分を変えようかな、と思ったこともあった」という。揺れそうになる胸中を奮い立たせ、思いとどまらせてくれたのも、城島アドバイザーからの言葉だった。

 宮崎キャンプ終盤のこと。連絡をとった城島アドバイザーから授かったアドバイスを甲斐はこう明かす。「今の目の前の1打席よりも、シーズンの500打席のことを考えてやれ、と。オープン戦の1打席を求めすぎずに、シーズンの500打席でいい内容を掴み取れるようにやっていけ、と話をしてもらった」。この助言に「ああそうだな、と思った」と納得した甲斐は「自分を信じてやりたいと思うし、ジョーさんのことを信じたい」と、信念を貫き通すことにした。

 この日、一発を放った甲斐だったが、自身の中で手応えを得たのは、2本目の安打となった左前安打の方だという。「どちらかというと自分の中ではそっちの方が、今までになくやろうとしていたことができたものでもあった。あのヒットは自分の中でも今後につながる大きい1本だったと思います」。打撃改造の大きなキッカケになるかもしれない1本の安打。甲斐は己を信じ、城島アドバイザーを信じ、打力向上に努めていく。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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