21年目おかわり君の牙城は「揺るぎようがない」 OP戦打率.409に辻監督も感嘆

2回、二死満塁から走者一掃の適時打を放った西武・中村剛也【写真:荒川祐史】
2回、二死満塁から走者一掃の適時打を放った西武・中村剛也【写真:荒川祐史】

史上最強の満塁男の面目躍如 19歳下の根本のスライダーを一閃

■西武 4ー1 日本ハム(オープン戦・15日・ベルーナドーム)

 プロ21年目を迎え、8月には39歳となる西武・中村剛也内野手が元気だ。15日、本拠地球場が「ベルーナドーム」と改称後、初試合となった日本ハムとのオープン戦に「3番・三塁」でスタメン出場。2回に満塁走者一掃の二塁打を放つなど、4打数3安打3打点と活躍した。オープン戦8試合に出場し打率.409(22打数9安打)、1本塁打5打点の猛打を振るっている。

 西武は2回、日本ハム先発の左腕・根本から3四球を選んで2死満塁とし、2番に入っていた森が押し出し四球を選んで先制。続く中村は、カウント1-1から真ん中に入ってきたスライダーをすかさずとらえた。打球は右中間を深々と破り、3人の走者が全員生還。さすがは、満塁本塁打通算22本のプロ野球記録を持つ“史上最強の満塁男”だ。高卒2年目で、学年で言えば19歳下にあたる根本に貫録を見せつけた。

「打ったのはスライダーです。ベルーナドームでもランナーをかえせてよかったです」。コメントも気が利いている。入団当時の西武ドームから、インボイスSEIBUドーム、グッドウィルドーム、西武プリンスドーム、そして昨年までメットライフドーム。本拠地球場の名称は変わっても、“おかわり君”の猛打に陰りはない。昨年までファンの間では、メットライフドームの愛称「メラド」が親しまれていたが、中村は新たに「(愛称をつけるなら)ベルドかな」と提案までしている。さらに5回には古川侑から左前打、7回には吉田の145キロの速球を左前へ運んだ。

「中村は相変わらずいいね」。BIG BOSSこと新庄新監督率いる日本ハムに4-1で勝ち、“ベルーナドーム初戦”を飾った辻発彦監督の表情からも、笑顔がこぼれる。練習試合、オープン戦を重ねる中で、本職が同じ三塁で“ポストおかわり君”と期待される渡部、ブランドンは相次いで2軍落ち。辻監督は「若い選手も必死にやっているが、今の感じじゃ、(中村の牙城は)揺るぎようがないでしょ」と感嘆。

 その上で「年齢的に、(シーズンを通して)ずっと出られるわけはない。こっちがコントロールして大事に使っていかないと」と話す。そして「(中村と比べると)遜色はもちろんあるけれど、少し(レベルが)落ちても、しっかり守ってくれる選手が育ってこないと。次の世代のためにも、若い選手に大いに期待しているんだけど……」と苦笑交じりに付け加えた。

 中村は一昨年、打率.213、9本塁打31打点の大不振だったが、昨年は.284、18本塁打74打点と見事に復活を遂げた。今年も若手を寄せ付けない勢いで、チーム野手最年長コンビの栗山とともに西武を牽引することになりそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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