イチローが口にした「アメリカンジョーク」 わずかな“間”に見えた孤独の意味【マイ・メジャー・ノート】第3回

イチローが口にした“放送禁止用語”「悪いチームメートを持ちました」

 イチローの大リーグ19年の心の来歴には、外国人故の“ジョークの世界”というものが隠れている。今回の眼目はここにある。

 少し遡って、昨年の8月7日のこと。CBSテレビの人気トーク番組『レイト・ショー』にボブ・コスタスがゲスト出演した。五輪の独占放映権を持つNBCテレビの元キャスターで、過去に12大会連続で五輪中継のメイン司会を務め、同局の大リーグ中継を担当した名実況者コスタスの登場とあれば、迷わず録画ボタンを押した。すると……。

 文化人や政治家など著名人のインタビューも多いコスタスが、印象に残る一つとして厳選したイチローとの爆笑対談が流れた。最後、視聴者がブッ飛ぶ過激発言が飛び出す。覚えた英語の慣用句で一番好きなものを問われたイチローは、少しの間(ま)を取ってから、滑らかに言い切った。

“August in Kansas City is hotter than two rats f***ing in a wool sock.”
(8月のカンザスシティーはウールの靴下の中でエッチをしている鼠たちよりもアツい)

 スタジオに画面が切り替わると、コメディアン、作家の肩書を持つ下ネタ好きの進行役スティーブン・コルベアが間髪を容れずにイチローの言葉をなぞった。放送禁止用語は再びピー音でかき消され、スタジオの観客は最高潮に達した。その収まりを待つコスタスが、収録後の1コマを明かした。

「お腹を抱えて笑うスタッフが静かになると、イチローはため息交じりに『悪いチームメイトを持ちました』と首を横に振ったんです。そこで忠告しました。他にももっとヤバイ言い回しがあるからねって。で、最後に私は言いました。ねぇイチロー。あれって“慣用句”じゃないから(笑)」

チームメートが“異能の打者”に近づくための手段…いったい誰が陥れたのか

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