イチローが口にした「アメリカンジョーク」 わずかな“間”に見えた孤独の意味【マイ・メジャー・ノート】第3回
チームメートが“異能の打者”に近づくための手段…いったい誰が陥れたのか
イチローはやられた。暗記していたのは、尾籠(びろう)なオチをつけるロッカールーム・ジョークだった。高温多湿なカンザスの8月を喩える響きにまんまと引っかかったのだ。ここで、“慣用表現もどき”を修正してみる。
“August in Kansas City is hotter than two rats in a f***ing wool sock.”
(8月のカンザスシティーは2匹の鼠が入り込んだウールの靴下よりもっと暑苦しい)
行為そのものを表す「動詞のFワード」と「名詞を強調するFワード」のトリック。その見え透いた手口が笑えるのだが、“icebreaker”に通じている。聞き手をくつろがせ、話に引きつけるためのユーモアやジョークなどが相当する。チームメイトは、日本から来た異能の打者との間に介在していた心のよそよそしさを、ジョークという「砕氷船=icebreaker」を使って、冷たい氷を割り前へ進んで行こうとしていたのだ。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)